新型フェアレディZの心臓は405ps、レスポンス重視の3.0ℓV6ツインターボだ

新型日産フェアレディZが搭載する3.0ℓV6ターボ VR30DDTT型とはどんなエンジンか?

新型ZのV6ターボエンジン
新型フェアレディZが搭載する3.0ℓV6ツインターボエンジン
日産の7代目「Z」が発表になった。6代目が3.7ℓ自然吸気V6エンジンだったのに対して新型は3.0ℓV6ツインターボエンジンを選択した。このエンジン、どんなエンジンなのか?

1994年に登場して長らく日産マルチシリンダーエンジンの代名詞であったVQシリーズに代わって、20数年ぶりに登場したV6がVR型。VQを生産しているいわき工場で製作されることから、ボアピッチ(108㎜)は踏襲されるが、ターボ化をはじめとして内容は完全に刷新されている。

新型日産Z。日本仕様のフェアレディZが登場するのは今冬だ。

新型フェアレディZが搭載するVR30DDTT型は、北米用5.0ℓV8の代替となるダウンサイジングターボ・エンジンだが、注目されるのはその出力重視設計だ。欧州のライバル勢を凌駕することが命題となっただけあって、400psオーバーの出力を6400rpmという現代のV6ターボとしては異例の高回転域で発揮する。

VR30DDTT型3.0ℓV6ツインターボエンジン

60度のバンク角を採るため、最近流行の「ホットV」(ターボチャージャーをVバンク内に収めるレイアウト)ではなく、ターボチャージャーは左右バンクの外側に吊り下げられる。

各バンクの外側にターボがそれぞれ1基ずつのツインターボだ。

シリンダーはVQと同じオープンデッキだが、3.5層のガスケットやヘッドボルトの軸力管理で大きな燃焼圧力に耐える。ターボチャージャーは出力確保のために高回転化。オーバーランを避けるために渦電流式の回転センサーで回転数を監視。水冷式インタークーラーと電動ウェイストゲートで効率アップを図る。ポンピングロスの取り分が少ないことからVVEL(可変バルブタイミング&リフト)は廃され、吸排気にCVTCSと呼ぶ連続可変バルブタイミングシステムを採用する。レスポンスを重視してEGRを採用しないという潔さだ。

ミラーサイクルを利用するため、吸気側VVTはレスポンスに優れた電動式を使用。バルブタイミングの急変動に追随せず、排気量からポンピングロス低減効果が薄いため可変リフト機構VVELは採用されなかった。
企画当初はV8とモジュラー生産ができるようバンク角90度が俎上に上がったが、リーマンショックによる設備投資の抑制要求により、既存のV6と同じ60度に。ボアピッチも108㎜というVQ系の数値を流用。
ターボチャージャーはハネウェル製。小径ターボで性能を上げるには高回転化が必須だが、過回転のリスクがともなうため、渦電流式センサーで逐次回転数を監視し、遅滞なく制御を行なう。
生産は福島のいわき工場が担当する。一時は工場の存続さえ危ぶまれたが、震災復興の象徴として、全社を挙げての生産開発支援が行なわれ、VR30のキーファクターとなった。
エンジン形式:60度V型6気筒DOHCツインターボ
 エンジン型式:VR30DDTT
 排気量:2997cc
 ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm
 圧縮比:10.3
 最高出力:405ps/6400rpm
 最大トルク:475Nm/1600-5200rpm
 燃料供給:燃料直接噴射
 使用燃料:無鉛プレミアム
 

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著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…