今回発表された2種のタイヤは、ミシュランが今後3年以内に開発する標準タイヤの未来像を示すもの。天然ゴムの割合を増やし、再生カーボンブラック、ヒマワリ油やバイオ由来樹脂、籾殻性シリ力、再生スチールを使用することで、サステナブル素材の含有率が向上している。
ミシュランは、2030年に40、2050年には100 %持続可能なタイヤを生産するという意欲的なゴールに向けて、現実的かつ具体的な取り組みを進めている。タイヤの性能に妥協することなく、タイヤの全てのライフサイクル(設計・製造・輸送・使用・リサイクル)において環境負荷低減に配慮する。
ミシュランには、過去培った知見と、素材分野での3,678件の有効特許があり、ハイテク素材分野で6,000人の専門家を有する研究開発部門全体をあげて、2050年に向けた目標達成に取り組んでいる。サステナブル素材におけるイノベーションのスピードや品質の向上をはかるためには新しい技術が必要であり、パートナーシッププロクラムに参加し、リサイクル分野で画期的な技術開発を加速するための情報交換が行われている。
「タイヤを100持続可能にする」ミシュランの強い意志を示すパートナーシップ
- パイロウェ-ブ(Pyrowave:カナダ)と提携し、廃ポリスチレンからリサイクルスチレンを製造。スチレンは、ポリスチレンだけでなく合成ゴム製造に使用される。最終的に、年間数万トンのポリスチレン廃棄物を、元の製品やミシュランタイヤにリサイクルすることを目指す。
- キャルビオ(Carbios:フランスの新興企業)が開発したプロセスで、酵素を使用してペットボトルを元の純粋なモノマーに分解。使用済みペットボトルを繰り返し再利用可能。リサイクル素材には、タイヤ製造に使用するポリエステルが含まれ、年間約40億本のペットボトルがミシュランタイヤにリサイクルされる可能性が見込まれる。
- エンバイロ(Enviro:スウェーデン)と共にミシュラン初のタイヤリサイクルプラントの建設着工。カーボンブラック、熱分解油、スチール、ガス、など高品質の再生材料を使用済みタイヤから回収する特許技術を開発。この技術により、タイヤを100リサイクルすることが可能になる。
- バイオバタフライ・プロジェクト(BioButterfly)を主導するアクセンス(Axens:フランス)、IFPEN(フランス)と、石油由来ブタジェンに代わる、バイオマスプタジェン製造に取り組む。この技術で、木材、籾殻、葉、トウモロコシ茎葉などを原料に、年間420万トンの木材チップがミシュランタイヤヘリサイクルされる可能性が見込まれる。
- ADEME(フランス環境エネルギー管理庁)、ブラックサイクル(BlackCycle)及びホワイトサイクル(WhiteCycle)と連携し、循環型経済をサポート。使用済みタイヤを高品質の原材料に変換、新品タイヤを製造。