【海外技術情報】GM:新しいエネルギーエコシステムはユーザーがエネルギーのニーズを制御する。

Infographic detailing GM Energy’s Ultium Home and Ultium Commercial ecosystem. Show truck shown. Actual production model will vary. Model year 2024 Silverado EV expected to be available fall 2023. App is preproduction and subject to change.
GMが提供する『GMエナジー』は、『アルティウム・ホーム』・『アルティウム・コマーシャル』・『アルティウム・チャージ360』により構成される。それはエネルギー管理サービスを含むビジネスチャンスを拡大し、単なる車両運用の範囲を超えて成長して行こうとしている。『GMエナジー』は、シームレスで統合されたエネルギー管理をユーザーに提供する。それは例えば、災害時などでグリッドが被災した際の回復力を向上させる。この機能が、ハリケーン災害などが頻発するアメリカにおいて今、注目されているようだ。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA)

『GMエナジー』はクルマ・家・蓄電池・グリッドの電気を管理する仕組み

GMが『アルティウム・ホーム』および『アルティウム・コマーシャル』の導入を発表した。これらは既存の『アルティウム・チャージ360』と組み合わされて、『GMエナジー』と呼ばれる新しいビジネスユニット下におかれる、エネルギー管理製品およびサービスの総合的エコシステムを構築する。

『GMエナジー』のコネクテッド製品およびサービスは、双方向充電、Vehicle-to-Home(V2H)、Vehicle-to-Grid(V2G)を実行することで、家庭用、商用、それにBEVの所有者に総合的なエネルギー管理を提供する。

その構成要素は、定置型ストレージ、ソーラー製品、ソフトウェアアプリケーション、クラウド管理ツール、マイクログリッドソリューション、水素燃料電池など、である。『GMエナジー』のサービスはまた、BEVや定置型蓄電池からエネルギー消費のピーク時に電力会社にエネルギーを販売することも可能であり、これはユーザーに経済的メリットを提供するのみならず、災害時においては電力網の回復力を高めることにも貢献する。GM EV成長戦略担当副社長のトラヴィス・へスター氏は以下のように説明した。

「アメリカでは、送電網の信頼性が、かつてないほど重要になっています。『GM エナジー』は、電力の影響を緩和するのに役立つ持続可能なエネルギー製品・サービスを提供します。そして停電を未然に防いだり、費用対効果の高いエネルギー管理をユーザーに提供します」

『GMエナジー』の中心的なインターフェースは『エナジー・サービス・クラウド』である。エネルギー管理ツールにより、ユーザーを住宅と車両、商用エネルギー資産とをシームレスに接続する。ユーザーはアプリを通じて、エネルギー消費を簡単かつ効率的に管理できる。GMはすでに『エナジー・サービス・クラウド』を介して充電プログラムにBEVユーザーを登録してアメリカ4州にまたがる複数の公益事業と接続されています。

太陽光発電の設置ではSunPowerと協力する

またアメリカの幾つかの大企業は、自社顧客にエネルギーソリューションを提供するために『GMエナジー』と協力することに既に同意している。

その大企業のなかには、アメリカ有数のソーラー技術およびエネルギー・サービス・プロバイダーの1つである 『SunPower』が含まれている。両社は共同で、統合されたBEVおよびバッテリーソリューション、ソーラーパネル、家庭用エネルギー貯蔵で構成される家庭用エネルギーシステムを開発して、顧客に提供する。ホームエネルギーシステムの主な機能は、ドライバーが互換性のあるBEV用バッテリーを使用して自宅に電力を供給できるようにすることであり、停電時に自宅の必需品に電力を供給したり、ピーク時に蓄えられたエネルギーから引き出したりできるように設計されている。また、サンパワーは家庭用エネルギーシステムの優先設置業者となり、顧客に太陽光発電システムを家庭に設置する。このホームエネルギーシステムは2024 年の『シボレー シルバラード EV』と同時に発売される。

また『GMエナジー』と『パシフィック ガス アンド エレクトリック カンパニー(PG&E)とで、V2Hパイロットプロジェクトを行なう。これにより住宅の顧客は、互換性のあるBEVと双方向充電器を使用して、短期間の停電時のバックアップ電源として使用できるようになる。最初のラボテストの後、両社は2023年に開始される予定のPG&Eのサービスエリア内の住宅顧客にV2Hの提供を拡大する予定である。 へスター氏は以下のように述べた。

「我々の使命は、車両を超えたソリューションを含むエネルギー製品とサービスへの、完全なアクセスをユーザーに提供して、電気の未来へのシームレスな移行を加速することです。『GMエナジー』とともにエンタープライズビジネスの拡大により、持続可能な電力への参入障壁を下げることで、BEVの普及をさらに加速させます」

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著者プロフィール

川島礼二郎 近影

川島礼二郎

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系…