【海外技術情報】ボッシュ&メルセデス・ベンツ:世界初となる無人駐車システムが商用利用の承認を受ける

Mercedes-Benz erhält für das gemeinsam mit seinem Technologiepartner Bosch entwickelte „Automated Valet Parking“ die Freigabe der Behörden für den Serienbetrieb. Die weltweit erste vollautomatisierte und fahrerlose Parkfunktion (SAE Level 4) wird für bestimmte Varianten der S-Klasse und des EQS mit der entsprechenden Vorrüstung „INTELLIGENT PARK PILOT“ verfügbar sein und in Deutschland zunächst im Parkhaus P6 am Airport Stuttgart starten. Mercedes-Benz has received official approval for commercial use in Germany for the “automated valet parking” service, which has been developed together with the technology partner Bosch. The world’s first highly automated driverless parking function (SAE Level 4) will be available in Germany for certain S-Class and EQS variants featuring the INTELLIGENT PARK PILOT and will debut in the parking garage P6 at the Airport Stuttgart.
ボッシュとメルセデス・ベンツは、自動運転に向けた重要なマイルストーンに到達したことを発表した。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA)

シュトゥットガルト空港でAPCOAが運営するP6駐車場において使用される高度に自動化された駐車システムが、ドイツ連邦自動車交通局(KBA)による承認を受けたの。これによりSAEレベル4の高度に自動化されたドライバーレスパーキング機能として、商用利用が正式に承認されたことになる。自動運転の技術的進歩は、未来のモビリティにおいて重要な役割を果たします。車両とインフラストラクチャが運転と操作を引き継ぐことで、ドライバーは駐車スペースを探したり、狭い駐車場で操作する必要がなくなるのだ。

無人駐車システムの商業利用が世界で初めて承認された

メルセデス・ベンツグループの開発・調達担当の最高技術責任者であるマーカス・シェーファー氏は以下のように述べた。

「技術パートナーであるボッシュと共同開発した高度に自動化された無人駐車機能の一般ドライバーによる使用が世界で初めて承認されたことは、イノベーションのリーダーシップとMade in Germanyとが密接に連携していることを示しています。『Sクラス』と『EQS』とに条件付き自動運転(レベル3)システムである『ドライブ・パイロット・レベル3システム』を投入したのに続いて、この『インテリジェント・パーク・パイロット』を搭載した駐車用レベル4システムを2022年中に提供を開始する予定です。テクノロジーがいかに生活を楽にし、貴重な時間を節約できるかを、私達はドライバーに示して行きます」

ボッシュの取締役会メンバーでありモビリティ・ソリューション事業部門長を務めるマーカス・ハイン博士は以下のように述べた。

「無人駐車は自動モビリティの重要な側面の一つです。パートナーであるメルセデス・ベンツと共同開発した高度に自動化された駐車システムは、この分野の進歩を示しています。ボッシュは当初から、駐車場のインフラをインテリジェントにする、というアプローチをとってきました。当社は本分野のスタンダードを設定したのです。将来的には、より多くの駐車場にインフラ技術を装備することを目指しています。今後数年間で世界中で数百の駐車場に無人駐車を可能とする設備を導入する予定です」

シュツットガルト空港でP6駐車場を運営するAPCOAグループの取締役を務めるフランク・ヴァンデルサン氏は以下のように述べた。

「ボッシュ、メルセデス・ベンツ、シュトゥットガルト空港と協力して、無人および非接触型駐車のためのコネクテッドシステムの開発に成功したことを嬉しく思います。私達のデジタルプラットフォームである『APCOA FLOW』はスペースの予約、駐車場への非接触アクセス、駐車場での自動請求に使用できます。これによりドライバーの利便性が大幅に向上します。移動計画の確実性が向上し、無駄な時間がなくなります。また歩く距離は短くなり、非接触かつキャッシュレスで駐車プロセスを完了できるようになるのです」

無人駐車システムを支える技術

P6駐車場に入ったら降車してスマートフォンアプリをタップするだけで、事前予約した駐車スペースに車両を移動させることができる。この無人パーキングサービスではドライバーは不要である。このプロセスはボッシュが提供した駐車場に設置されたインテリジェントインフラストラクチャと、メルセデス・ベンツの自動車技術との相互作用により実現する。駐車場にあるボッシュのセンサーは走行通路とその周辺を監視して、車両の誘導に必要な情報を提供する。車両のテクノロジーはインフラストラクチャから受信した情報を運転操作に変換する。車両は駐車場のフロア間を移動することもできる。インフラセンサーが障害物を検出すると、車両はブレーキをかけて安全かつ完全に停止する。

2019 年、メルセデス・ベンツとボッシュはシュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ博物館の駐車場において、人間の監視なしに開発車両を使用して自動パーキングを運用する世界初の特別許可を取得した。今回発行された承認はこれを超えた。シュトゥットガルト空港のP6 駐車場での個人所有車両による商業運転が許可されたのである。

承認の根拠は2021年7月にドイツで発効した自動車のSAEレベル4に従って無人運転を許可する法律である。この法律の駐車システムへの適用はドイツ連邦デジタル運輸省 (BMDV)とKBAとの緊密な連携のもとで実施された。2022年5月20日にドイツ連邦議会で可決されたAFGBV(自動運転指令)はレベル4の車両が満たすべきドイツの道路交通法の基準を明確に規定している。

両社は、シュトゥットガルト空港P6駐車場で無人駐車サービスを段階的に展開する。2022年7月以降に製造された『Sクラス』と『EQS』で、メルセデス・ベンツが提供する『INTELLIGENT PARK PILOT2』サービスを有効にしたドライバーはサービスがリリースされた日からシュツットガルト空港P6駐車場で以下のことが可能となる。

ドライバーが『Mercedes me』アプリを使用して事前に駐車スペースを予約して、所定の降車場所に車を停めることができる。すべての乗員が車両から降りた後、アプリを介して自動的に駐車操作が開始される。駐車システムは予約された駐車スペースへのルートが明確であること、その他すべての技術的要件が満たされていることを確認する。このときドライバーはインテリジェントインフラストラクチャが車両を制御したことを確認する通知をアプリで受け取る。その後ドライバーと乗員は駐車場を出て行くことができる。車両は自動的に始動して駐車スペースへのルートを見つける。ドライバーが駐車場から車を回収したい場合、スマートフォンのコマンドで呼び出す。暫く待つと車両は所定のピックアップエリアにやって来る。

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著者プロフィール

川島礼二郎 近影

川島礼二郎

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系…