アウディが再生可能燃料「R33ブルーディーゼル」、「R33ブルーガソリン」を給油して新車販売。化石燃料比でCO₂排出量を20%以上削減

アウディが販売する新車に、環境に配慮したR33ブルーディーゼル、R33ブルーガソリンが給油されることが発表された。R33燃料は、化石燃料と比較してCO₂排出量を20%以上削減させ、燃料の変更による給油所の機器等、ハードウェアの変更は一切不要だという。

CO₂排出量 20%削減のR33燃料とは

この新燃料は、エネルギー関連企業であるシェルおよびボッシュと共同開発され、アウディおよびフォルクスワーゲングループは、鉱油メーカーおよびエネルギーサプライヤーと協力して、既存のエンジンと再生可能燃料との互換性を確保するために、技術的な専門知識を提供している。R33ブルーガソリンとR33ブルーディーゼルは、残留物および廃棄物系の原料を使用した再生可能な成分をおよそ3分の1含んでおり、これらの燃料は第2世代のバイオ燃料と呼ばれている。
R33ブルーガソリンは、エタノールなどの含酸素燃料10%と、パルプ生産の副産物であるトール油などの残留物から得られるバイオナフサ23%で構成されている。R33ブルーディーゼルは従来の化石燃料に、26%の再生可能なパラフィン系燃料、つまり水素化植物油(HVO)と7%のバイオディーゼルが加えられている。

R33ブルーガソリンは、ガソリンに適用されるヨーロッパ規格のDIN EN 228に完全に準拠している。これは、Super 95 E10ガソリン(バイオエタノールを10%混合したオクタン価95のガソリン)での走行が承認されたすべての車両で使用することができる。また、R33ブルーディーゼルは、今日最も普及しているEN 590規格を満たしているため、すべてのディーゼル車(年式の古いモデルも含む)でも使用することができる。両方の燃料は、広範囲なエンジンテストおよび車両テストで一貫してポジティブな結果を達成しており、貯蔵安定性や沸騰挙動などの主要な数値でEN 228/E10規格を達成。また、高品質な添加剤により、これらの再生可能燃料は非常にクリーンな状態になっており、エンジンの腐食を防止。R33燃料は、特別な添加剤によって摩耗と耐用年数にプラスの効果をもたらすプレミアム燃料である。

R33ブルー燃料は、Well-to-Wheel(石油採掘から車輪まで)分析において、化石燃料を使用したディーゼルやガソリンと比較しても、20%以上のCO₂排出量が見込まれている。燃料メーカーは、認定された環境プロジェクトに資金を提供することで地球規模の温室効果ガスの影響をさらに削減することを目指しており、2025年までに生産拠点のカーボンニュートラルを達成するというアウディの目標に向けた重要なステップとなっている。

アウディの狙う新燃料提供のネットワーク

アウディは、「Vorsprung 2030」戦略を掲げ、バッテリー式電気自動車(BEV)への移行に全面的に取り組んでいる。再生可能燃料は、内燃エンジンをより気候に優しくすることで、この戦略を短期的に補完するものである。さらに、欧州において、アウディの内燃エンジン搭載車の生産が終了する2033年以降における、効果的な脱化石化手段としても捉えられている。将来的に、アウディおよびフォルクスワーゲン・グループは、既存の車両のCO₂排出量を削減するために、車両のための再生可能燃料のレパートリー拡大を計画している。

アウディは、ドイツの2つの工場でR33燃料を使用することにより、これらの拠点におけるCO₂排出量をさらに削減し、2025年までにアウディの生産拠点をネットカーボンニュートラルにするという目標を推進させている。また、社用車からの排出量も拠点のCO₂排出量にカウントされるため、これらの再生可能燃料を使用することで、ドイツのインゴルシュタットとネッカーズルムの2つの拠点におけるCO₂排出量を削減させる。

現在、R33ブルーディーゼルは、アウディ、フォルクスワーゲン、ボッシュの各工場の給油所に加えて、既存の公共の給油所で利用することができる。しかし、現在のところ、ドイツではSuper E10と最大7%のバイオディーゼルを含有したディーゼル燃料(ガソリンスタンドではB7という記号で表示)が標準となっている。鉱油メーカーは、既存の給油所にR33ブルーガソリンを供給することも計画しており、これらのreFuelsを使用する場合、給油所のハードウェア(機器類や給油装置等)に変更を加えることなく、新燃料を使用することができる。


キーワードで検索する

著者プロフィール

Motor Fan illustrated編集部 近影

Motor Fan illustrated編集部