ゲートドライバICは、低電圧ドメインで動作するインバータ制御マイコンからの制御信号を受け、内蔵のアイソレータを介して、高電圧のパワー半導体を駆動する役割を担っている。新製品は、xEVバッテリの高電圧化に対応すべく、絶縁耐圧を従来品の2.5kVrmsから3.75kVrmsまで強化したことにより、1200V耐圧のパワーデバイスにも使用できるようになる。また、通信の安定性やノイズ耐性の指標となるCMTI(コモンモード過渡耐圧)は、150V/ns(ナノ秒)以上を実現したことにより、より高い電圧や、より高速なスイッチングが求められるインバータシステムにおいても、安定した通信性能を維持することができる。新製品は、ゲートドライバとしての基本機能を、小型のSOIC16パッケージに搭載したことにより、コスト効率の良いインバータシステムの実現が可能。
新製品は、ルネサス製IGBTとの組み合わせのほか、他社製IGBTやSiC製品と組み合わせても使用することができる。また、トラクションインバータだけでなく、オンボードチャージャやDC/DCコンバータ等のパワー半導体を駆動する他のアプリケーションにも幅広く使用することができる。ルネサスは、新製品とマイコンやIGBT、パワーマネジメントIC等を組み合わせたxEV インバータキットソリューションを開発してきており、新製品を組み込んだキットを2023年上期中にリリースする予定となっている。
新ゲートドライバIC「RAJ2930004AGM」の特長
- 絶縁能力
- 絶縁耐圧: 3.75kVrms
- CMTI(コモンモード過渡耐圧): 150V/ns
- ゲート駆動能力
- 出力ピーク電流: 10A
- 保護/故障検出機能
- アクティブミラークランプ機能
- ソフトターンオフ機能
- 過電流保護機能(DESAT保護機能)
- 低電圧誤動作防止機能(UVLO)
- Fault フィードバック
- 動作温度範囲 :-40~125℃(Tj:150℃max)