レンジローバーのサスペンションを眺めてみる

SUVの欧州における祖ともいえるレンジローバー。3代目から引き継ぐ「モノコックボディ+独立懸架」は5代目となる現世代でも同様。大きく重たくなり、しかししなやかな脚周りを求められる同車のサスペンションはどのようなものか。

リヤサスペンション:マルチリンク式

リヤサスペンション全景。左後方から。サスペンションリンクを含め、あらゆる箇所に樹脂製カバーが備わり、床下整流に努める。正直、カバーを外さないと何も見えない、何かわからない印象。
さらに寄ったところ。ロワー後リンクはアルミ成形品だろうか。巨大なエアスプリングユニット(中央)とダンパー(その左側)を抱える。このほかのリンクはアルミ合金の鍛造品で構成している。
同部位を前から眺めたところ。ホイールからボディ側に伸びるのがロワー前リンクと樹脂カバー。垂直方向に走る角断面のアルミ部材はアッパー前リンクに接続されるアンチロールバーリンク。その上には四輪操舵のためのトーコントロールリンクとナックル側ボールジョイントが見える。
左サスペンションを上から眺めたところ。各リンク角度とナックルへの締結の様子がよくわかる。ちなみに撮影車はノキアンタイヤの新型スタッドレスタイヤであるハッカペリッタR5 SUVというタイヤを早くも装着していて驚いた。
左のリヤナックル。5本のリンク(つまり5リンク式サスペンション)をくわえこむための複雑なアルミ鍛造品。中央にはドライブシャフトが見える。

フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン型マルチリンク式

右フロントサスペンションを前下から。ご覧のようにダブルウィッシュボーン式ながら、ロワーは2本のリンクで分割した構造。それにしても各リンク/アームの豪奢なこと……。車重2700kg/最大トルク650Nmを受け止めるための方策である。
ナックル側に寄ったところ。各リンクが複雑に入り混じり、正直この写真だけでは何が何やらわからない印象。横に走るのがタイロッドエンド、画面右下からナックルにつながるのがロワー前リンク。奥にはロワー後リンクが、ボールジョイントの高さを変えて接続されている。右側に映る環状の部品はダンパーマウントで、ロワー後リンクに接続されている。環状としているのはドライブシャフトを通すため。ダンパーマウントには角断面のアルミ製アンチロールバーが接続される。
左フロントサスペンションをうしろから。ロワー後リンクとダンパーマウントの締結は、なるべくボールジョイントに近い位置としている。
同部位の上方、アッパーリンクとナックルの締結部。まことに個人的な感想で恐縮だが、ハイマウント式のフロントダブルウィッシュボーンは非常に格好いい。

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