大同特殊鋼が知多第2工場に特殊溶解設備を2基新設し、半導体製造装置向けなどの高級鋼需要増に対応

知多第2工場に設置予定の真空アーク再溶解炉(VAR)
大同特殊鋼は、今後の需要拡大が見込まれるニッケル基合金や、クリーンステンレス等の高級鋼について更なる増産を図るため、特殊溶解設備の真空アーク再溶解炉(VAR)2基を投資額52億円で知多第2工場(愛知県知多市)に増設することを発表した。稼働開始時期は2024年度末を予定している。

ニッケル基合金やクリーンステンレス鋼などの高級鋼は、真空誘導炉で溶解した鋼塊を特殊溶解設備で再溶解し、製品内部の清浄度や均質性を高めることで、部品の強度向上や耐用時間を伸ばすことが期待できるため、航空エンジンや半導体製造装置など、さまざまな厳しい使用環境に対応できる製品である。カーボンニュートラルやデジタル社会の実現に貢献する製品であり、今後ますます需要が高まることが予想されている。

大同特殊鋼はこれまで、世界最大級の25トン真空誘導炉(VIM)※4や真空アーク再溶解炉の増設を渋川工場に行い、高級鋼の生産能力拡大を進めてきた。今回の増設にあたっては、現時点の渋川工場には真空アーク再溶解炉の増設スペースを確保できないことから、スペースを十分に確保できる知多第2工場への新設が決定された。

今回の増設で高級鋼の特殊溶解能力を拡大するだけでなく、高級鋼圧延製品の出荷工場である星崎工場(名古屋市南区)に近い工場から母材供給が可能になるため、圧延製品のリードタイム短縮も目指される。大同特殊鋼は本投資により、高級鋼製品の比率を高め、社会への貢献と当社事業の安定化に努めていく。

 

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