大同特殊鋼: SDGsに貢献するバナジウムフリーチタン合金を世界最大規模の米ASTM規格に登録

大同特殊鋼のウェブサイトより
大同特殊鋼は、このたび、バナジウム*1フリーの高強度チタン合金DAT57Mを世界最大規模の標準化団体である米国試験材料協会ASTM Internationalの規格ASTMB348/B348M(チタン・チタン合金の棒およびビレットの規格)にGrade41として登録した。

 大同特殊鋼は長年にわたり、棒鋼・線材形状のチタン・チタン合金製品を供給し、各種チタン・チタン合金の開発を精力的に進めてきた。DAT57Mは、低比重かつ64チタン合金と同等の機械的性質を有する高強度α+β型*2チタン合金として2005年に開発され、ゴルフクラブ用途等に用いられてきた。DAT57Mの実用化、量産化実績が評価され、今回の登録に至った。なお、大同特殊鋼製チタン合金のASTM規格登録は初めてのこと。

 DAT57M(Ti-6Al-1Fe:アルミニウムを6%鉄を1%含むチタン合金)は、広く用いられている64チタン合金(Ti6Al-4V:アルミニウムを6%、バナジウムを4%含むチタン合金)と同等の機械的性質を有し、かつ低比重で、さらにレアメタル(希少金属)のバナジウムを用いないことから64チタン合金に代わり、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献するチタン合金として今後期待されている。大同特殊鋼は今回の米ASTM規格登録を機に、様々な用途にDAT57Mを適用できる環境を整備していく。

2.Grade41の特長

・バナジウムフリー
 レアメタルのバナジウムを含まず、地殻中に多く存在するチタン、アルミニウム、鉄から構成
・低比重
 比重が4.39と64チタン合金の4.43より小さく、軽量化が可能
・機械的性質
 引っ張り強さ、疲労強度は64チタン合金と同等
・製造性
 熱間成形性、機械加工性は64チタン合金と同等

3.Grade41の適用分野

自動車部品、ファスナー材、プラント部材、スポーツレジャー等の各種民生分野等

*1 バナジウム
レアメタルの一種。添加することにより、高温での硬さ、強さが増す。特に摩耗に強くなる。
*2 α+β型
チタン合金は構成される相(組織)で分類され、αは六方晶(六角柱の結晶構造)、βは立方晶(サイコロ状の結晶構造)でその両者が適度に混在するチタン合金をα+β型チタン合金と称し、耐熱性と適度な熱間成形性を有するのが特徴。

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