『Kobenable Steel』が競技車両「GR86」に搭載
今回、神戸製鋼所が提供する低CO2高炉鋼材『Kobenable Steel』が採用されたのは、トヨタ自動車の競技車両「GR86(カーボンニュートラル燃料車)」に使用される青山製作所製のエンジン部品締結ボルトである。マスバランス方式※1により鋼材製造工程におけるCO2排出量を100%削減した『Kobenable Premier』※2が採用された。
また本ボルトは、非調質ボルト用鋼を使用することで「焼鈍(軟化熱処理)」※3と「調質(焼入れ焼戻し熱処理)」※4というボルト製造工程における熱処理を省略しており、鋼材の製造工程とボルトの製造工程の両面においてCO2排出量を低減した製法で製造されている。
今回『Kobenable Steel』製エンジン部品締結用ボルトが採用された「GR86」は、今年7月8日~9日に行われる「ENEOSスーパー耐久シリーズ2023」(以下、スーパー耐久シリーズ)の第3戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」に出走している。
トヨタ自動車は、水素エンジンを搭載した「水素エンジンカローラ」とカーボンニュートラル燃料を使用する「GR86」をスーパー耐久レースに投入しているが、これらの競技車両はモータースポーツの厳しい環境に対応することが必要であり、素材においても高い品質が求められる。『Kobenable Steel』は、CO2削減効果だけでなく、そのような高い要求品質にも対応可能な商品である。なお、「水素エンジンカローラ」においても、『Kobenable Steel』が採用されている。
※1:製品の製造工程において、ある特性(例:低CO2品)を持った原料とそうでない原料とが混在する場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性を割り当てる手法。
※2:『Kobenable Steel』には、トン当たりのCO2排出量の削減率が100%の『Kobenable Premier』と同50%の『Kobenable Half』の2種類がある。
※3:伸線前の軟化熱処理(加工性を確保するための熱処理)
※4:冷間鍛造後の焼入れ焼戻し熱処理(強度、靭性等を確保するための熱処理)