NECとNXHD、物流倉庫でのフォークリフト自律遠隔搬送ソリューションを共同開発

日本電気(以下、NEC)とNIPPON EXPRESSホールディングス(以下、NXHD)は、2020年10月から開始した価値共創に向けた探索プロジェクトを通じて、物流における商品の運搬や積み下ろしなどフォークリフトを活用した倉庫内作業の効率性と安全性を向上させる自律遠隔搬送ソリューションを共同で開発したことを発表した。

共同開発の背景

本ソリューションは、アクチュエータ、カメラ、センサーなどを既製のフォークリフトに後付けすることで、シミュレーションによる状況に応じた搬送ルートの自動設計や安全性を確保したフォークリフトの自律遠隔搬送が実現されている。さらに、複数拠点にある複数台のフォークリフトを遠隔から少人数で集中管理できるようにすることで人手不足を解消し、安全性の向上など持続可能な物流の実現に貢献する。既製のフォークリフトに後付けすることで自律遠隔搬送を実現するソリューションは国内初となる。

物流業界においては、少子高齢化による人口減少に加え、2024年のトラックドライバーに対する時間外労働規制の強化により、トラックドライバーや倉庫内スタッフなどの労働力不足が将来的に見込まれることから、障がい者雇用の拡大や物流の効率化が喫緊の課題となっている。

NECは、顕在化する社会課題や顧客課題の解決を目指し、NECが保有するノウハウや技術などを集結させて、課題をスピーディかつ高品質に解決するDXオファリングの創出に、パートナーとの協業を通じて取り組んでいる。NECは本ソリューションを、2024年以降、NECが提供するDXプラットフォーム「NEC Digital Platform」へ搭載し、展開が目指される。

NXグループは、長期ビジョン実現のため「持続的成長と企業価値向上のためのサステナビリティ経営の確立」に向けてDXを推進しており、倉庫業務とオフィス業務の両面からオペレーションの改善や自動化を図ることで、物流事業の効率化に取り組んでいる。NXグループは本ソリューションへの取組みを通じ、人とデジタルが調和した効率的かつ高品質な物流ソリューションを提供していく。

自律遠隔制御対応のフォークリフト
遠隔操縦イメージ

フォークリフトの自律遠隔搬送ソリューションの特長

1.安全かつ高効率な自律制御による入出庫作業の自動化

これまで人が行っていた搬送ルート設定を、物流倉庫内の映像データをもとにシミュレーションを行い自動設計する。これによりソリューションの導入期間が短縮できる。また自律制御時には、フォークリフトに搭載したカメラやLiDARなどのセンサでセンシングした周辺の状況をもとにリアルタイムにルートの見直しを行い、環境の変化にも柔軟に対応する。

さらに、NECが開発した「リスクセンシティブ確率制御技術」を活用することで、搬送ルート上の障害物や人などへの衝突リスクを把握し、状況に応じてフォークリフトの速度を制限速度内で自動調整する。これにより、安全を確保しつつ生産性改善にも貢献する。

2.複数台のフォークリフトを遠隔から管理・操作可能

全てのフォークリフトのカメラ映像やセンサ情報をクラウドに集約し分析、制御することで、複数拠点にある複数台のフォークリフトを倉庫外からも管理・操作が可能となる。これにより、労働力の集約と1人あたりの作業効率の向上に貢献し、安全で快適な労働環境が提供される。

3.既製のフォークリフトを活用可能

既製のフォークリフトに、レバー、ハンドル、ペダルを制御するアクチュエータと、カメラやLiDARなどのセンサを後付けすることで自律遠隔制御対応を実現する。一方で倉庫にカメラやセンサなどの追加設置が不要なため、既に顧客が保有しているフォークリフトを有効活用し、早期導入が可能となる。また、物量や需要に応じて作業内容を変更できるよう、自律制御、遠隔操縦、搭乗操作を簡単に切り替えることができる。

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