SONY、電磁波ノイズエネルギーから高効率に電力を生成する環境発電用モジュールを新開発

ソニー・セミコンダクタ・ソリューションズ社(以下、SSS)は、電磁波ノイズエネルギーを利用したエナジーハーベスティング(環境発電)用のモジュールを開発したことを発表した。本開発品は、SSSがチューナー開発で培ってきた技術を応用することで、電磁波ノイズから電力を高効率に生成することができる

エナジー・ハーネスティング・モジュール開発の概要

電磁波ノイズエネルギーを利用したエナジーハーベスティングの仕組みのイメージ図

エナジーハーベスティングは、IoT社会の発展と持続可能な地球環境の両立に貢献する技術として、電波や光、熱、振動などの分野で研究が進んでいる。本開発品は、電気を使用するあらゆる機器から発生する電磁波ノイズを利用して電力を生成することができるエナジーハーベスティング技術とされている。

本開発品は、SSSがこれまでチューナー開発で培ってきたアンテナ技術をもとに、電磁波ノイズの発生源である電子機器などの金属部がアンテナの一部として活用されており、さらに電気への変換効率を高める整流回路を用いた独自の構造が採用されている。これにより、小型なモジュールながら、数Hz~100MHz帯の電磁波ノイズを電気エネルギーに変換し、低消費電力型のIoTセンサーや通信機器などへの給電や電池などへの充電が可能となる。高効率な電力生成を実現する本方式によるハーベスティング技術は、業界初となる

エナジーハーベスティングの活用場面一例
工場(左)、オフィス(中央)、店舗(右)

従来、注目されていなかった電磁波ノイズを新たな電力源として有効活用することにより、IoTセンサーなどで必要とされる電力消費に対して、電力を安定的に供給することができる。さらに、モジュールを構成する部品点数を抑えることで小型化により設置の自由度が向上されている。また、電子機器が通電されていれば、待機時においても電力収穫が可能なため、屋内外を問わず、工場やオフィス、店舗、家庭など、幅広いユースケースでの活用が期待される。

システムの主な特長

開発品(サイズ:7mm角)

■高い電力生成

家電やパソコン、ライト、自動販売機、エレベーター、自動車、産業用機器など、発生する電磁波ノイズ量が多い電子機器などをエネルギー源とすることで、数十μW~数十mWの電力が収穫できる。これにより、低消費電力型のIoTセンサーや通信機器などへの電源供給が可能とんる。

■幅広いユースケースに適用可能

  • 電力収穫の対象となる電子機器などが通電されていれば、その待機時においても電力の収穫が可能。そのため、太陽光や電波、温度差を用いた他のエナジーハーベスティング方式による電力生成と異なり、光の明るさや室内環境など使用環境の影響を受けることなく、持続的なハーベスティングが可能となる。
  • モジュールを構成する部品点数を抑えることで、小型化により設置自由度が向上されている。

■機器の状態検知が可能

電子機器などから発生する電磁波ノイズを収穫し続けるため、収穫電圧の変化を検知することによる電子機器内部の状態把握が可能とされる。例えば、照明が正常に点灯しているかの検知、モーターを内蔵したロボットなどの機器の故障の予知管理などへの応用も期待される。

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