NEC、芝浦工大と共に複数の自動運転シニアカーを遠隔監視・制御する実証実験をさいたま新都心駅にて実施

自動運転シニアカー(左)とLiDARセンサー(右)
芝浦工業大学と日本電気(NEC)は、センサー、カメラ、AIなどを活用し複数の自動運転シニアカー(電動カート)を遠隔監視・制御する実証実験を、さいたま新都心駅周辺の歩行者デッキと商業施設で、本年9月11日(月)~15日(金)に実施することを発表した。

実証実験の内容

近年、お年寄りや体の不自由な方が自由に移動する手段として、自動運転機能を備えたマイクロモビリティが注目されており、利用者が操縦せずに目的地まで走行できるため、一部で導入が始まっている。しかし現状は、安全な動作のために多数のセンサーやカメラ搭載に関する問題や、無線通信品質の変動により正常な遠隔監視・制御が困難になるといった課題があり、自動運転シニアカーを導入する際の障壁となっている。

本実証実験では、商業施設内に設置したLiDARのセンサー情報およびカメラ映像と、シニアカーに搭載したカメラ映像を統合分析し、自動運転シニアカー2台を遠隔監視・制御する。また、これを実現するために、NECのAIであるアプリケーションアウェアICT制御技術が活用される。

本技術は、カメラ映像内の分析すべき重要領域を予測・抽出し、重要度、データ量、通信品質の状況に応じて分析処理をシニアカー搭載の小型コンピューターとクラウドに動的に割り振る。これにより、常に変化する混雑エリアの状況をリアルタイムかつ高精度に把握して、急接近する人物や見通し外の状況を考慮し、適切な事象に対してアラート通知や緊急停止が可能となる。

自動運転シニアカー(左)とLiDARセンサー(右)

また、走行するシニアカーに対し、周囲の人物の影響の有無を判定する映像分析AIを開発することで、安全性を過度に考慮した頻繁な停止を防ぎ、効率的な自動運転を実現している。これらは、既に利用されているシニアカーに、カメラと映像処理・通信用の小型コンピューターを追加搭載するだけで容易に導入することができる。

なお、自動運転に未対応のエリアを想定し、さいたま新都心駅周辺の歩行者デッキを手動運転で走行するシニアカー2台の遠隔監視についても実証が行われる。

今後の展望

芝浦工業大学は、今後、自動運転シニアカーの実用性を高める研究に邁進すると共に、LiDARを遠隔監視に応用した研究を提案していく。さらに、芝浦工業大学発ベンチャー企業であるハイパーデジタルツイン社への技術提供を行う。

NECは本実証で得られる知見を活かし、将来的には商業施設、鉄道、空港などを運営する事業者や、公共施設を運営する自治体などに対して、自動運転車両の運行監視システムやサービスを提供することを検討していく。

※ LiDAR(Light Detection And Ranging):レーザー等の光を対象物に照射し、その反射光を捉えることで、その対象物までの距離や輝度を測定し、対象物の形状・輝度を読み取る技術。

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