ホンダのスーパーカブ110のエンジン、JA59E型の開発において、最新の排出ガス規制であるユーロ5と令和2年規制に対応するため、多くの技術的革新が行われた。特に注目すべきは、失火をゼロにすることを目標とした設計変更である。
この目標達成のため、カムプロファイルの選定や吸気系のレイアウトの見直し、インジェクターの位置変更などが行われた。これにより、スムーズなガス流動と効率的な混合気の生成が可能となり、熱効率の向上とクランクダウン現象の低減が実現された。
エンジン設計では、平均ピストン速度を先代の13.9m/sから15.8m/sに向上させ、圧縮比も上げられた。これにより、ブロックやシリンダーヘッドの強度が増し、同時に重量の削減も達成されている。新エンジンは109ccの排気量を維持しつつ、小径ボアのロングストローク設計に変更された。
また、スーパーカブ110のエンジンは庶民の足として使われるため、法規対応分のコストを価格に反映させることなく、燃費性能と出力のバランスを保つ必要があった。
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