旭化成エレクトロニクス、EV向け半導体電流センサーの販売を開始

旭化成エレクトロニクスは、SiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)などを用いた次世代パワーデバイスと親和性の高い電気自動車(EV)向けコアレス電流センサー「CZ39シリーズ(以下、「本製品」)の量産および販売を開始したことを発表した。本製品では同社が長年培ってきた化合物半導体・パッケージ・回路技術が用いられ、高速応答性・低発熱・高耐ノイズ性を実現している。

製品の特長

コアレス電流センサー CZ39シリーズ

本センサーの特徴は、SiCやGaNなどを用いた高電圧かつ高速でスイッチングする次世代パワーデバイスを使用する際の電流センシングに求められる性能で、自動車に搭載される充電器 (On Board Charger、以下「OBC」) や直流電圧を変換するDC/DCコンバーターの小型化に貢献する。また本製品は、その高速応答性から過電流を遮断し、安全性を高める電子ヒューズ (E-Fuse) システムにも使用が可能。

1. 100ナノ秒(1000万分の1秒)の高速応答で電流を検知

化合物ホール素子の高感度特性を活かし、高速応答を実現。SiCやGaNなどを用いた次世代パワーデバイスを使用するOBCやDC/DCコンバーターに本製品を使うことで、スイッチング周波数の高周波化が可能となり、モジュールを小さく設計することができる。また、本製品はその高速応答性から過電流保護の用途にも利用が可能。本製品を用いることで、システムにとって危険な過電流を検知した際に自動的に電流を遮断する電子ヒューズ回路を実現することができる。

2. 一次導体抵抗 0.3mΩにより発熱低減で熱設計が容易に

本製品は、デバイス内に流す電流を計測するコアレス式の電流センサーです。独自のパッケージを開発することで、一次導体の抵抗値を 0.3mΩ まで抑えられている。環境温度 125℃ で 40Armsの電流を連続通電させることが可能で、発熱も抑えることができるため、熱設計が容易になる。加えて、沿面距離と空間距離を十分確保した耐圧構造を採用し、650Vを超える高耐圧アプリケーションにおいても使用可能。

3. 高速スイッチング動作時においてもノイズの影響を抑えつつ電流検出が可能

SiCやGaNなどを用いたパワーデバイスでは、高電圧かつ高速のスイッチングを行うため、センサーの動作や測定結果に影響を与える電磁波ノイズが強く発生する。本製品は当社の化合物半導体技術、パッケージ技術、回路技術を組み合わせることにより、そのような環境においてもセンサー特性への影響が発生しにくい設計とし、ノイズの影響を抑え電流検出が可能。

アプリケーション例

  • EV用 OBC
  • EV用 DC/DCコンバーター
  • EV用 電子ヒューズ(E-Fuse)
本製品による電流測定の仕組み

キーワードで検索する

著者プロフィール

Motor Fan illustrated編集部 近影

Motor Fan illustrated編集部