目次
Part1 POWERTRAIN
電気のチカラがもっとも活用されているのは、 駆動力を生み出すパワートレーンです。 電気を動力に変換するモーターの大幅に速い反応速度を最大限に活用することで、 エンジンの弱点を補完する大きな役割を担っています。
自動車の駆動制御技術に欠かすことのできないモータージェネレーター。 低出力ながら使用頻度の高いオルタネーターを、 小型モーターに置き換えることで、 簡易HEVとしてのポテンシャルを発揮するBSG(ベルト・スターター・ジェネレーター)。 ウェイストゲートバルブの開閉を電動アクチュエーターで行なうことによって過給圧を自在にコントロールして排気利用のさらなる効率アップが見込める電動ウェイストゲート。 電気のチカラを得ることで、 新しい道が開けたデバイスの技術進化とその効果を解説します。
Part2 DYNAMICS
エンジン車は、 スロットルによる空気応答のため、 アクセルを踏んでからタイヤが動き出すまで少なくとも100msecまではピクリとも動きません。 いっぽうモーターは電気で動くため、 電動車はエンジンよりもパワートレーンの制御性、 応答性が飛躍的に高まります。
このように応答性に優れたモーターの駆動力で動かす電動車は、 パワートレーンの守備範囲が広がり、 とくに複数のモーターを搭載するAWDでは、 高度な運動制御ができる利点を生かして、 減速力、 ピッチング、 ヨーなどを繊細にコントロールしてクルマの挙動を作り出すことができます。 そこに先鞭をつけたのが、 三菱や日産、 マツダといったメーカーです。 新しいフェーズへと進む電動化技術の象徴というべきダイナミクスの領域について、 そのメリットを考察します。
Part3 CHASSIS
電気のチカラを駆使するのは、 駆動といった大きな出力を使う場合だけには留まりません。 自動車のシャシー系では、 既存の油圧機構に付加してコントロールしたり、 もしくは置き換えたりすることで生み出されるメリットが多くあります。 減衰力を可変する電子制御ダンパーや、 ドライバーには到底不可能な芸当でクルマの安定と安全を担保するESC(横滑り防止装置)、 さらには自然なステアフィールを制御で作り込む電動パワーステアリングなど、 電気のチカラとして受ける恩恵として有用なシステムは数多く存在します。 これらの仕組みと狙いを探ります。
ル・マン24時間レースの現在と未来
2012年から9年間続いたLMP1の時代が終わり、 ル・マン/WECの最上位カテゴリーはハイパーカーに移行しました。 ハイパーカー規定導入初年度はトヨタが制し、 4連覇を成し遂げました。 そのTOYOTA GAZOO Racingの戦いと、 2022年以降の技術動向をまとめました。
CONTENTS
[モーターファンイラストレーテッド vol.180]
【図解特集:ELECTRIC POWER~電気のチカラ~】
[Introduction]
ecoだけじゃない電気のチカラ
[Analysis]
「エレキ」はなにをもたらしたか
Chapter1 パワートレーン
01 DENSO MOTOR GENERATOR<駆動用モータージェネレーター>
乗用車のパッケージングにより大きな駆動力を
02 BOSCH BSG<ベルト・スターター・ジェネレーター>
簡単HEVのポテンシャル
03 BorgWarner 電動ウェイストゲート
「オン・オフ」から「最適」へ
Chapter2 DYNAMICS
01 三菱自動車 車両運動統合制御システム<S-AWC>
クルマの運動性能をドライバーの意図に合わせ込む
02 日産 電動駆動4輪制御システム
駆動力を繊細にコントロールすることで上質な乗り心地を作り出す
[Column]次世代の電子制御を読み解くキーテクノロジー
Chapter3 CHASSIS
01 SUBARU 電子制御ダンパー
“キャラ変”を可能にした減衰力可変ダンパー
02 コンチネンタル ESP
ドライバーには到底不可能な芸当でクルマの安定と安全を担保する
03 ジェイテクト 電動パワーステアリング
自然なステアフィールを制御で作りこむ難しさ