「G050」はEV販売会社であるASFが設計・開発を担い、佐川急便と共同で実証実験を行っているもので、中国・広西省に本社を置く広西汽車集団傘下の柳州五菱汽車有限公司で製造される。同車は日本の車両規格や道路基準に応じた設計で、「国内設計、海外生産」という新しい取り組み。一般的な乗用車よりも過酷な環境である配送用途で使用されるため、耐久性に重点を置くとともに、衝突被害軽減ブレーキや自走事故防止装置、バックソナーを配備するなど、安全性に配慮した設計になっているほか、AIドライブレコーダーやAI危機管理システム等、先進装備の導入も検討されている。今回、日本電産が中核部品を供給することで「Technology by Japan」としての新しい形での取り組みとなる。
「G050」に搭載される日本電産のトラクションモータ、インバータは、主に出力30kW以下の小型EV・モビリティをターゲットに開発した新たな戦略製品であり、トラクションモータシステム「E-Axle」Ni150Exシリーズ(150kW)、Ni100Exシリーズ(100kW)に続き同社が開発・量産するもの。世界的に小型EVが増加傾向にあること、また、その需要が今後急拡大していくものということに鑑み、小型軽量・高効率・低振動という元来の良さを継承しつつも、スペースの限られた小型モビリティの中で自由に配置できるようモータとインバータを敢えて別体化し、冷却方式を最適化する等、コンパクトさと高効率を極限まで追求している。開発には、2020年に開設した蘇州開発センターのメンバーが参画し、日本で熟成したモータ、インバータの技術ノウハウを使って、顧客の要望に合致する製品を完成させた。
ASF飯塚社長コメント
「本プロジェクトは日本のEV界に革新を起こすものであり、日本を代表するモータ会社である日本電産様の参入を歓迎致します。日本電産様のモータによってもたらされる性能と品質は要求が厳しい日本ユーザーにも満足いただけると期待しています。日本電産様と共に、「Made With Japan」を目指します」
日本電産社長・関氏コメント
「本プロジェクトへの参加についてASF社、広西汽車に感謝申し上げます。当社は2030年に1000万台のE-Axleの販売を目指してEV化を推進しており、我々の価値を日本のお客様にも提供できることに自信を持っています。本プロジェクトは日本販売車種としては初の当社トラクションモータ搭載車両となり、日本市場において革新をリードするASF社との協業を今後更に深化させていきます」
日本電産は2030年に売上高10兆円を目指しており、車載事業、中でもトラクションモータ事業はその中核のひとつとなる見込み。モータ、インバータ、ギアを一体化したトラクションモータシステム「E-Axle」を2019年4月に世界に先駆けて生産を開始しており、中国において既に累計16万台以上を販売、2030年には1000万台を目標としている。同時にトラクションモータ単体での販売も並行して行っており、モジュール、単体いずれの要望にも対応できる研究・開発・生産体制を整えている。