2022年に発表されるEA888の第4の進化形は、最先端のターボエンジンの設計をさらに推し進めたもので、フォルクスワーゲンのエンジンの中でも最も先進的なものの一つである。社内およびフォルクスワーゲンファンの間では「Evo4」と呼ばれ、2022年のゴルフGTIとRのボンネットの中に収まるかもしれない。
2022年のゴルフGTIは、思わず笑みがこぼれるような241馬力を発揮し、EPA(米国環境保護庁)推定で高速道路で34mpgの燃費を実現する。2022年モデルのGolf Rは、四輪駆動で315馬力を発揮し、オプションのDSGデュアルクラッチオートマチックを装備することで、EPA(米国環境保護庁)推定30mpg(高速道路走行時)を達成している。
ハンガリーのジャイオルにある最先端の施設で製造されたこれらのEA888 Evo4は、2.0リッター(1984cc)のターボチャージャーとダイレクトインジェクションを搭載している。ゴルフRでは9.3対1、GTIでは9.6対1と、ターボエンジンとしては非常に高い幾何学的圧縮比を採用している。長寿命と信頼性を高めるためにチェーンドライブ式のダブルオーバーヘッドカムシャフトを採用し、1気筒あたり4つのバルブをサポートしている。また、インテークカムシャフトとエグゾーストカムシャフトには、連続可変バルブタイミング機構が採用されており、エグゾーストカムシャフトには、2種類のカムシャフトローブプロファイルを採用することで、バルブリフト量とデュレーションを可変としている。これらのシステムを組み合わせることで、フォルクスワーゲンのエンジニアは、さまざまな走行状況に合わせて調整することができる。
連続可変バルブタイミングと可変バルブリフトの2つのシステムが数ミリ秒単位で連動し、使用済みのガスを素早く排出することで、ターボチャージャーを早期にスプールすることができる。これにより、非常に広い回転域で迅速なトルク供給が可能になる。このようにして、EA888は、低回転域では非常に扱いやすく、エンジン回転数が上がるにつれて馬力が増加するという目標を達成することができる。さらに、トランスミッションのファイナルドライブレシオを長くすることで、エンジンのダウンスピード化を図り、燃費にも貢献している。
2.0LのEA888に空気を送り込む際、インテークマニホールドに設けられた専用のチャージモーションフラップが非対称に閉じることで、空気と燃料の流れに旋回と転落の動きを与える。このフラップは、空気と燃料の混合を助けることを主な目的としているが、エンジンの回転数が低い場合でも、燃焼室の限界領域にきれいな空気が入るようにすることで、効率の向上を実現している。エンジンの回転数が高くなるとフラップが閉じ、最大のパワーを発揮する。
空気が燃焼室に入ると、燃料は最新の高圧直噴システムによって4つの燃料噴射装置に供給され、その圧力は先代のEA888ゴルフGTIエンジンの2900psi(20MPa)に比べて5076psi(35MPa)になる。これに先進的なターボチャージャーを組み合わせることで、日常的な運転で最も要求される低回転域でのトルクポテンシャルを最大限に発揮することができる。ゴルフGTIではピークトルクに達する前の1,750rpmで273lb-ft(370Nm)、DSGトランスミッションを搭載したゴルフRでは2,000rpmで295lb-ft(400Nm)を発揮する。高圧下での冷却を維持するために、切り替え可能なピストンオイルジェットが高負荷状態で作動する。
EA888は、シリンダーヘッド内に完全に収納された独自のエキゾーストマニホールドデザインを採用しており、コンパクトなターボチャージャーがエンジンに直接取り付けられていると言える。この配置により、急速な暖機と排気の熱管理が可能となり、効率が向上している。排気ガスは、シリンダーヘッドの出口からツインチャンネルを経由してタービンホイールのすぐ近くまで到達し、非常に速いスプールアップタイムと低いラグ特性を実現している。ブースト圧の立ち上がりの速さを調整するために、高感度の電子ウェイストゲートがタービンの真後ろに組み込まれている。
このような近距離での装着を可能にするために、燃焼室付近の超高温(最高1796度)に耐えられる特殊なターボチャージャーを使用している。この耐熱性により、高負荷時に複雑な燃料増量アルゴリズムを必要としないため、EA888は効率を最大限に高めながら最大のブーストを得ることができる。
これは、ハイテクなEA888のごく一部の紹介である。しかし、最も重要なのは、この2つの高性能エンジンの革新を支えている揺るぎないエンスージアストの存在であることは言うまでもない。ドイツでも、ゴルフRにはマニュアルトランスミッションの設定がない。
フォルクスワーゲンUS:EA888型エンジンがEvo4に進化
フォルクスワーゲンは、小排気量ターボチャージャーの重要なパイオニアとして、エンジンの世代が変わるたびにその技術を進化させてきた。フォルクスワーゲンの主力エンジンファミリーである4気筒EA888は、排気量や仕様を変えながら、多くの製品ポートフォリオや子会社ブランドの製品に搭載されている。