水素雰囲気という特殊な環境においては、水素脆化(水素の侵入により金属の強度が著しく低下する現象)による早期破損が課題となっていたが、この開発品により、軸受の長寿命化が可能となり、ユニットの小型軽量化や、低フリクション化が可能となった。
FCVでは水素を有効活用するために、燃料電池内で未反応の水素を再利用するための水素循環ポンプが使用されることがある。その水素循環ポンプ用軸受は、水素及び水蒸気中で使用されるため、水素脆化しにくく、水蒸気中でも腐食しにくい軸受の開発が必要だった。そこでジェイテクトは、新たな素材の適応と熱処理により、従来製品の10倍以上となる耐久性と耐食性を持つ軸受を開発した。
本開発品をFCVの水素循環ポンプに使用することで、FCVの安全性と信頼性の向上に貢献する。また、水素環境下において、従来の転がり軸受では水素脆化による早期破損の懸念から使用できなかった用途での使用が可能となった。