NVIDIA:Omniverse Avatarで構築された、NVIDIA DRIVE Concierge と Chauffeur

 GTCの基調講演で、NVIDIAの創業者/CEOであるジェンスン・フアン氏(Jensen Huang)は、日常的な運転のストレスと煩わしさを取り除くためのAIプラットフォームであるNVIDIA DRIVE ConciergeとDRIVE Chauffeurを発表した。これらのインテリジェントなテクノロジは、車内のデジタルエクスペリエンスを変革させる。

 ソフトウェアデファインドの車両には、NVIDIA DRIVE Orinで構築された2つの重要なコンピューターが内蔵されるだろう。1つはAIアシスタントであるDRIVE Conciergeであり、もう1つは自律走行を強化するDRIVE Chauffeur。NVIDIA DRIVE IXテクノロジとNVIDIA Omniverse Avatarを基盤とするDRIVE Conciergeは、NVIDIA DRIVE AVテクノロジを基盤とするDRIVE Chauffeurと緊密に連携し、車内での搭乗者体験を再定義する。

 都市部での活動が再開するにつれ、米国では交通量がパンデミック前の水準に戻りつつあり、州によってはそれを超えているところもある。専門家の予想では、車両交通の増加は続くと見られるが、在宅勤務とのハイブリッドという新たな未来では、通勤時間帯に交通渋滞が起こる頻度は減るかもしれない。

 この傾向は、自律走行車技術の急速な進歩と時を同じくしている。つまり、交通量が増えても、高速道路での頭痛の種まで増えるとは限らないということ。NVIDIA DRIVEの集中型高性能コンピューティングアーキテクチャにより、AIは車による移動のほぼすべての要素を、より安全で便利な体験になるよう強化することが可能になる。

真にインテリジェントなアシスタント

 仕事と生活に追われていると、手がもう1組—またはAI—があればいいのにと思うことがあるだろう。DRIVE Conciergeがあれば、車の搭乗者は常時稼働しているインテリジェントなサービスを利用できる。これにはリアルタイムの対話型AIを可能にするNVIDIA DRIVE IXとNVIDIA Omniverse Avatarが使われる。

 Omniverse Avatarは、音声AI、コンピュータービジョン、自然言語理解、レコメンダーエンジン、そしてシミュレーションといった領域における、NVIDIAのテクノロジが組み合わされたもの。このプラットフォームで作成されたアバターは、レイトレーシングされた3Dグラフィックスによるインタラクティブなキャラクターで、見ること、話すこと、多様な話題について会話することができ、自然に話された意図を理解することができる。

 Omniverse Avatarのテクノロジにより、DRIVE Conciergeはすべての人のデジタルアシスタントの役割を果たすことが可能。おすすめを提案したり、レストランへの予約を入れたり、通話を支援したりするほか、車内に財布の置き忘れがあるような場合は通知も行う。運転者と同乗者一人ひとりにパーソナライズされるため、車の搭乗者全員が自分のパーソナルコンシェルジュを持つことができる。そしてOmniverse Avatarのテクノロジにより、これらのアシスタントは驚くほどインテリジェントになるだろう。

 Omniverse Avatarによって、車との自然な会話が可能になり、以前はボタンやタッチスクリーンでの操作が必要だった多くの機能を音声でコントロールできるようになる。

 GTC基調講演中に紹介されたDRIVE Concierge AIプラットフォームのデモでは、正面のダッシュボード画面に表示されたデジタルアシスタントが、運転者が時間通りに目的地に到着するための最適な走行モードの選択をサポートし、さらに到着までの距離が100マイル以下になったらリマインダーを設定するというリクエストに従う。

動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=7zKAKgc7Ecs

 また、DRIVE Conciergeはオンデマンドの駐車係でもある。車を駐車してくれるので、運転者は楽に先を急ぐことができる。また守護者(ガーディアン)でもあり、車内カメラとマルチモーダルインタラクションを使って、必要な場合に運転者の注意が道路に向くようにする。

 Omniverse Avatarの3Dグラフィックスにより、運転者と同乗者は車のAIが何を考えているのかを見ることができる。DRIVE ConciergeはDRIVE Chauffeurと緊密に統合されており、高品質な360度の4D可視化を低レイテンシで提供。そのため、運転者はゆったり座ってChauffeurの安全な運転に身を任せることができる。

 また、このようなシステム間の連携により、DRIVE Conciergeは車両の呼び出しや駐車場の探索、ニューラルグラフィックスを使った車両の3Dサラウンドビューの再構築などの機能も実現する。

AI、運転は任せた

 日常的な運転では、公道をいつも自由に走れるわけではないのが現実。交通渋滞のような事態があると、ドライブはたちまち退屈な雑事になってしまう。

 DRIVE ChauffeurはNVIDIA DRIVE AV SDKを基盤とするAI支援運転プラットフォームであり、高速道路と市街地の道路のどちらもこの上なく安全に運転することができる。これにより人間の運転者は、常に車両を制御し、周囲の状況を監視するという重荷から解放され、貴重な時間とエネルギーを取り戻せる。

動画URL:https://youtu.be/qVyN_chiLeo

 DRIVE Hyperion 8の高性能コンピューティングアーキテクチャとセンサーセットを使用するDRIVE Chauffeurは、ある住所から別の住所へと運転することが可能。自身で運転したい人には、システムがアクティブセーフティ機能を提供し、危険なシナリオのときには介入する。

 DRIVE Chauffeurのパイプライン全体が世界を4Dで認識するよう設計されており、堅牢で効率的な自律走行を実現している。

 DRIVE ConciergeとDRIVE Chauffeurは運転体験を革新させ、相互連携することであらゆる人の通勤をこれまでになく安全、便利で楽しいものにしようとしている。

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