デクセリアルズ:通信基地局や自動車などのICチップの放熱用途に好適な熱伝導シート シリコーンタイプ「ZX11N」を製品化

デクセリアルズは、高い熱伝導率と柔軟性を両立した熱伝導シート シリコーンタイプ「ZX11N」を製品化し、販売を開始した。

 本製品は、長期信頼性に優れ、長期間の使用でも劣化や性能低下が少ないため、5G通信基地局やデータセンター、自動車の自動運転の情報処理を担うICチップの放熱用途に適している。

 近年、5G通信の実用化などによって、通信基地局やデータセンターが処理する通信の量は飛躍的に増加している。また、エレクトロニクス機器や自動車も高機能化および高性能化が進み、これらのICチップが処理する情報量は増加している。大量の情報処理に対応するため、ICチップは動作周波数を高めてコア数を増やすことで処理能力を向上させているが、半導体であるICチップは自身の抵抗を持つため動作量に応じて熱が発生し、その熱対策が重要な課題となっている。

 熱伝導シートは発熱するICチップと放熱をおこなうヒートシンクなどの間を埋めて密着させることで、熱を効率的に逃がすための製品。そのため、熱伝導シートには高い熱伝導率と密着・段差吸収のための柔軟性が求められるが、高い熱伝導率を持つ材料(フィラー)を多く使用するとシート全体が固くなるため、一般的に熱伝導率と柔軟性はトレードオフの関係にある。

 このたびデクセリアルズが新たに開発した熱伝導シート シリコーンタイプ「ZX11N」は、上記の課題を解決し、11W/m・Kの高い熱伝導率と柔軟性を両立した。本製品は同社が熱伝導シート 炭素繊維タイプで培った独自の配向技術を用いることで、向きによって熱伝導率が異なる窒化ホウ素フィラーを整列させて配置し、熱伝導シートとして高い熱伝導率を実現した。また、使用するフィラーの量も少なくすることができるため、柔軟性も兼ね備えている。

 さらに、窒化ホウ素フィラーは長期的に安定かつ、絶縁特性を有するため、熱伝導シート全体として高い信頼性と絶縁特性を保持する。社会インフラとして安定した動作が求められる通信基地局やデータセンターのICチップ、安全性の観点から長期信頼性が求められる自動車の自動運転の情報処理を担うICチップの放熱用途などに積極的に提案をすすめていく。

本製品の詳細

■製品名:熱伝導シート シリコーンタイプ「ZX11N」

■特長
独自の配向技術により高い熱伝導率と柔軟性を両立
 デクセリアルズが熱伝導シート 炭素繊維タイプで培った配向技術によって、向きによって熱伝導率が異なる窒化ホウ素フィラーを整列させて配置することより高い熱伝導率を実現。使用するフィラーの量を減らすことができるため、熱伝導率11W/m・Kと柔軟性(硬度)55(Shore OO、 ASTM D2240)を両立。

窒化ホウ素フィラー採用により高い信頼性を保持
 長期的に安定な特性を持つ窒化ホウ素をフィラーとして用いることで、熱伝導シート全体として、長期間の使用でも劣化や性能低下が少なく、高い信頼性を保持。長期信頼性が求められる通信基地局やデータセンター、自動車などのICチップの放熱用途に好適。

シート全体で高い絶縁特性を実現
 基材のシリコーンおよびフィラーの窒化ホウ素の両方が絶縁特性を持つため、シート全体で絶縁破壊電圧7 AC KV/mm(ASTM D149)の高い絶縁特性を保持。ICチップ周辺の端子への接触に配慮せずに使用可能。

環境基準に適合
 デクセリアルズが培った材料配合技術を活かして材料選定することで、欧州の環境規制であるRoHS指令に適合。製品全体としてハロゲンフリーも実現した。

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