出光興産:グループ初のカーボンニュートラル海上輸送を実施

出光興産は、原油の海上輸送中の燃料消費に伴うCO2排出量削減を目的に、グループ初の試みとしてカーボンクレジット※1を活用した日本中東間の原油海上輸送を行った。

 気候変動対策への国際的な機運が高まる中、GHG(温室効果ガス)排出量の削減効果を「環境価値」として取り引きすることで、企業のカーボンニュートラルの取り組みを後押しする、カーボンクレジットの活用に関する議論が活発化している。その中でも民間セクター・NGOなどによって管理される排出量取引の枠組みであるVCMが注目されており、当該メカニズムにおいては、再生可能エネルギー・省エネルギー・森林などの各種プロジェクトから創出されたクレジットを、企業などのCO2排出量の削減手段のひとつとして活用できる。世界中の企業がカーボンクレジットの活用を開始しているため市場拡大が予測されており、今後は大きな役割を担うことが期待される。

 低炭素化・脱炭素化に取り組む顧客ニーズに応えるための先行事例として行った本取り組みでは、100%出資子会社である出光タンカー所有の大型原油タンカー(VLCC)「日章丸」(載貨重量:300,544MT)の日本中東間往復の海上輸送に、カーボンクレジットの環境価値※2を活用することで、理論上同区間航海1回分に相当する約1万トンのCO2排出量の相殺(オフセット)を実現した。

 今回活用したカーボンクレジットはVCM(Voluntary Carbon Markets)にて、信頼性の高い第三者検証機関が世界各地のプロジェクトのCO2排出削減効果を認証※3したもの。出光興産のシンガポールのトレーディング拠点である出光アジアが、当クレジットを市場で独自に購入した。

※1 温室効果ガス排出削減、または吸収するプロジェクトを通じて生成される排出削減・吸収量を価値化したもの。
※2 IMO(国際海事機関)の定める燃料別CO2排出量基準表から算出。
※3 本海上輸送の対象となるカーボンクレジットは、世界的な機関であるVerra、Gold Standardに認証されており、国際民間航空機関(ICAO)が実施する国際航空のためのカーボンオフセットおよび削減スキーム(CORSIA)にも認められている。

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