モーターファン・イラストレーテッド(MFi) vol.183は、まるごと一冊、「SUBARUの最新テクノロジー」特集

SUBARUはどこへ向かうのか──。この疑問を解決するため、MFi Vol.183では、まるごと一冊、SUBARU特集を組みました。水平対向エンジン、電動化、シンメトリカルAWD、CVT、アイサイト、ボディ/シャシー技術、そして振動騒音技術まで、スバルが追い求める「いま」の最新技術を全方位解説します。

SUBARUというユニークな会社

 世界でも類を見ないユニークな自動車メーカーと言えば、やはり「SUBARU」でしょう。水平対向エンジン/CVTを堅持し、全輪駆動にこだわり続け、そして、近年では“ぶつからないクルマ?”が代名詞となった高度運転支援システム「アイサイト」の登場で「SUBARUがいい」というファンが増えています。

 ただ、世界中の自動車メーカーがいま、EV化や自動運転でマウントを取ろうと戦略を立てるなか、SUBARUはそれに同調する動きはあまり見られません。

 SUBARUはどこへ向かうのか──。この疑問を解決するため、MFiでは、まるごと一冊、SUBARU特集を組みました。水平対向エンジン、電動化、シンメトリカルAWD、CVT、アイサイト、ボディ/シャシー技術、そして振動騒音技術まで、スバルが追い求める「いま」の最新技術を全方位解説します。今回、編集部が取材をとおしてわかったことは、目標はカーボンニュートラルですが、ヒトが運転するクルマに必要な技術とはなにか、そして、「スバルがいい」と価値を認めてくれている人に刺さる商品づくりを愚直に推し進めているということでした。

スバルCTO藤貫哲郎氏にインタビュー

 CTO=チーフ・テクニカル・オフィサー。わかりやすく言えば、技術部門の統括責任者です。いま、スバルでその立場にいるのは藤貫哲郎氏です。スバルは2021年3月に組織を改正し、技術戦略を考え、意思決定をスムーズにするためにCTO直轄のCTO室を設置しました。CTO室とは、つまりスバル車が進むべき技術の「いま」と「将来」を決定する場所ということです。藤貫氏に、CTOとして考えていることと将来の構想についてインタビューしました。

水平対向エンジンはこれからもありなのか

 スバルはその歴史のほとんどを水平対向エンジンとともに歩んできました。そのなかで現有する最新世代のエンジン、2機種を取り上げます。ひとつはレヴォーグに搭載され、リーン燃焼技術を用いて環境対策にも対応した1.8リットル・4気筒のCB18。もうひとつは、モアパワーを追求して新型BRZに搭載した2.4リットル・自然吸気エンジン(FA24 NA)、さらにFA24と同じ型式ながら、北米で好評のターボエンジンを取り上げ、NAとTURBOの違いはなんなのか。それぞれの狙いとそれを実現するために開発した技術について紹介します。

センターデフの復活

 スバル車における走りの楽しさの提供は、AWD(オール・ホイール・ドライブ)が発想の原点とも言えます。現在、スバルを支えるAWDシステムは大きく3種類ありますが、なかでも注目は一時、姿を消していたセンターデフ方式が復活したことです。新型WRX S4に搭載される、歯車が噛み合う“センターデフ方式”の前後トルク配分システムは、他にはない独自の魅力を備えているわけですが、スバルにおける「いま」風の仕立て方について取材しました。

2030年死亡交通事故ゼロを目指す

 現在のスバルらしさを際立たせる技術といえば、安全技術です。2030年死亡事故ゼロを目標に掲げるスバル。「ぶつからないクルマ?」を代名詞にしたアイサイトは、世界に先駆けるかたちでステレオカメラによる認識技術を用いた先進運転支援システム(ADAS)であり、最新世代になってもそのスタンスは変わりません。その根底には「お客様に役立つ機能をいちばんコストがかからない方法で提供し、事故を徹底的に減らすのがADASの使命」という考えがあるからです。アーキテクチャーは変わっても、開発に対する姿勢や手法はまったく変えずに作り続けている最新世代のアイサイトと、乗員保護のための衝突安全性、それぞれの安全技術の進化を探ります。

マイルドHEVからBEVまで電動化にこそAWDがいい

 カーボンニュートラルを実現するには、電動化は必須です。スバルは、水平対向エンジンやAWDが強いアイデンティティとなり、ファンに認知されてきたスバルも例外ではありません。「エネルギー効率だけを追いかける電動化にはしない」とエンジニア諸氏は言いますが、電動化戦略を推進していくことで、水平対向エンジンは失われないのか、AWD技術はモーター駆動で生かされるのか。そしてなにより「SUBARUらしさ」は発揮できるのかを多角的に考察しました。

新連載「大学研究室探訪」スタート! 第1回目は東海大学

 自動車の未来を創る研究と、エンジニアを目指す金の卵を応援する、理系大学の研究室を探訪する企画がスタート。将来、有望な自動車技術のタネと人材を発掘し、紹介していきます。第1回目は、自動車関係の研究グループが充実した東海大学を訪問。バラエティに富んだ研究の内容を紹介します。

CONTENTS
[モーターファンイラストレーテッド vol.183]
【SUBARUの最新テクノロジー】

Introduction
 藤貫哲郎CTOインタビュー
 「ヒトが運転するクルマに必要な技術とは、 なにか」
Chapter1【基礎技術】
 水平対向エンジンはこれらもありなのか?
 Case1 水平対向エンジン
  [CB18] リーンで燃やす~CB18型水平対向エンジンの希薄燃焼技術
  [FA24 NA/TURBO] 名前は同じでも設計は別モノ
 Case2 駆動系
  [センターデフの復活] 遊星歯車を用いてトルクを分配するVTD-AWDの存在意義
  [CVTの新たなる挑戦] 自社開発のチェーン式ユニット、 その進化の歴史
  [シンメトリカルAWD] 水平対向レイアウトが生む優れた素性
Chapter2【安全技術】
  [アイサイト/アイサイトX] ハードからソフトまで、 すべてを自社開発
  [衝突安全性] 避けられなかったときのために
Chapter3【NVH】
 騒音/振動低減でも大きな進化を実現したSGP
Chapter4【シャシー】
 乗り心地と操縦安定性を高次元で両立させたシャシー技術の進化
Chapter5【電動化】
 マイルドHEVからBEVまで電動車にこそAWDがいい
新連載 大学研究室“原石”探訪#1:東海大学工学部(神奈川県湘南キャンパス)
最新自動車テクノロジーレポート2021 vol.6

発売日:2021年12月15日(水)
定価1760円 (本体価格1600円)
ISBN:978-4-7796-4504-4
※全国の書店、 コンビニエンスストア、 ネット書店にてお求めいただけます。

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