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速さに直結するレスポンス型エンジンで勝負
劣化を考慮したボディメイクにも注目だ!
ニスモ製フルエアロで身を包み、19インチのBBS LMが足元を飾るBNR34。明るいシルバーとされたボディカラーは塗料を独自に調合した完全オリジナルで、表面が常に濡れているように見える艶感を出して欲しい…とのリクエストに応えたものとなる。
「自分が60歳になった時に乗りたいGT-Rをイメージして作ったんだ」とMCR小林さんは言う。
ストリートをメインに考え、アクセルペダルを踏み込んだ時の瞬発力と息の長い加速を実現するために組まれたエンジンは2.8LのGT-SSツイン仕様。Vカムは使わず、カムも大人し目のプロフィールが選ばれる。自分にとって“アガリの1台”を作り上げる小林さんは一切の妥協を許さず、1万kmを走る間に5回もエンジンを載せ換え、納得できるこの仕様にようやく辿り着いたほどだ。
「昔はRX6 F1タービンツインなんかもやったけど、パワーバンドが7000~9000rpmで全く使えなかった。自分がエンジンに求めるのは中速域のトルクとレスポンス。そうすると、このRB26みたいな仕様で落ち着くんだよね」と小林さん。
また、6速ギヤとファイナルギヤのレシオも変更。6速ギヤは純正0・793からJZA80用0・818に交換し、ファイナルは3・545からニスモ製3・9に換えてローギヤード化を図る。
小林さんいわく、「これで加速性能を高めながら、5→6速シフトアップ時のエンジン回転落ちも抑えられる。それでいて6速で8000rpmまで回せば300km/hに到達。同時にゼロヨン10秒台、筑波1分切りも可能にする、バランスの取れたギヤ比だと思う」とのこと。
そんなパワートレインを抱え込むボディのメイキングが、また大きな見どころだ。ホワイトボディから作り込まれ、補強はスポット溶接増しではなくパネルボンドで行なわれる。というのも、熱を加えるスポット溶接増しはモノコックを歪ませる可能性があり、長い目で見れば、完璧な防錆処理を行なえないパネル接合面から錆が発生する心配も拭えないからだ。
車高調はテインモノレーシング。スプリングレートはフロント10kg/mm、リヤ12kg/mmとなる。セッティング幅を拡げるため、フロントアッパーリンクは調整式に交換。ブレーキはフロントエンドレスMONO6キャリパー+370mmローター、リヤMONO4キャリパー+355mmローターで容量アップ。パッドはエンドレスMA11を使用する。
メインメーターは320km/h、1万1000rpmフルスケールのニスモ製に交換。ステアリングコラム左側にHKS A/Fノックアップがセットされるが、追加メーターは装着せず、マルチファンクションディスプレイで各種車両情報を一括管理する。
10年単位で先を見越して各部をチューニング。その原動力は、「自分が乗りたい」という小林さんの強い思いにあったのは言うまでもない。しかし、MCRとして最新モデルのチューニング開発車両兼デモカー導入に必要な資金調達のため、このBNR34は常連さんに譲られ、小林さん自身が乗ることは叶わなくなった。それでも一つ確実に言えるのは、まさに“一生モノ”と呼ぶに相応しい1台だということだ。
●取材協力:MCR 千葉県柏市大青田713-2 TEL:04-7199-2845
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