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スバルFRドリフトの仕掛け人!
スバル一筋20年。話題の選考型走行会『Lowstars(ロースターズ)』の仕掛け人にして、4WD改FRドリフト仕様の可能性を追い続ける男、三浦紘一。10台近いスバル車に囲まれ、エンジョイドリフトライフを満喫する稀有な“奇人”の生き様を追った。
「スバル車ってね、横を向いている姿がカッコ良いんですよ・・・」
「WRCの影響ですかね。免許を取る前からスバル車に興味があったんです」。つまりは必然。三浦さんが迎えた人生初の愛車はGC系インプレッサだった。そして当たり前のように地元の峠に通い、ドラテクを磨く日々が始まる。
ある日の出来事だった。「いつものようにコースを走っていたら、初代レガシィにチギられたんです。しかもあっちはドリフト(笑) 本当に衝撃的でした」。この敗北が三浦さんの走り屋魂に火をつける。インプレッサの駆動方式を4WDからFRへと改造し、その初代レガシィの幻影を追うようにドリフトをスタートさせたのだ。
以降、様々なクルマを乗り継ぎながらドリフトのスキルを高めていくわけだが、車歴の顔ぶれはスバル車のみで、しかもその全てが三浦スペシャルのFRドリフト仕様という変態っぷり。そして気がつけば、稀有なスバル4WD改FRドリフターとして業界で一目置かれる存在になっていた。
クルマ遊びの幅が広がっていく中で、ドレスアップ系のイベントにも参加するようになった三浦さんだったが、ドリフトほどのワクワク感が無く不完全燃焼に終わってしまう。そこで思いついたのが、「飾ってカッコ良いクルマを全開で走らせるイベント」だった。これが、選考型のサーキット走行コンテンツ『Lowstars』の起源である。
今では世界中から注目されるイベントにまで成長しているが、三浦さんとしては現状よりも規模を大きくする予定はないという。その理由は「本当にカッコ良いクルマだけを集める」という当初のコンセプトにそぐわなくなるからだ。
徹頭徹尾のイベンター、あるいは酔狂なドリフトパフォーマー。“走りも置きもどっちも楽しみたい”という強いこだわりと、強いスバル愛を併せ持つ彼の周りには、常にその想いに共感した仲間たちが集っている。
奇人スバリストが愛情を注ぐマシンたち
レガシィ(BC5)
10万円で手に入れた不動状態の初代レガシィをベースに製作。エンジンはGC8バージョン3に搭載されていたEJ20で、ミッションもGDBの6速MTを移植。フロントマスクは北米仕様、リヤは欧州仕様化するなど細部まで拘りが詰まったFRドリフトスペックだ。
ボディは鉄板溶接加工でワイド化。フロントドアは純正のままだが、そのプレスラインを生かすカタチでリヤドアにも加工が施されている。拡幅はフロント片側50mm、リヤ片側70mmだ。ハブは純正の100−5Hから114.3−4Hへと変更することで、旧車用のロンシャンを履きこなす。
インプレッサスポーツワゴン(GF8)
あえてのワゴンボディをベースに作り込まれたFRドリフト仕様。三浦さんのコレクションの中では最もドリフト用に振り切った車両で、ナックル加工を軸に強烈な切れ角を実現。ヘッドライトは100系チェイサー用を移植しており、それに合わせて周辺パーツの加工も実施。違和感無く引き締まったフロントマスクを実現している。
エンジンは基本的にGDB純正となるが、腰下のみ強度で勝るGRB用を投入。ハードなドリフトユースにも対応したスペックを構築している。GDB純正タービンに鞭を打ったブーストアップ仕様で、約300psを発生させる。
ダッシュボードやメーター類もGDB用をごっそりと移植。「当てがってみたら着いたので(笑)」とは三浦さん。ナンバーレスのサーキット仕様ということで、リヤはシートレスのドンガラ仕様となる。
レガシィアウトバック(BPE)
子供の送迎からキャンプ、スキー、そしてドリフトまでこなせる究極のオールマイティ仕様を目指して製作されたアウトバックのFR仕様だ。実際にキャンプギアとして活躍しているそうだが、見た目だけのクルマ作りでは満足できない三浦さんの性格を最も色濃く表した仕様かもしれない。
エンジンは6気筒のEZ30。オリエントワークス製のエキマニを投入することで、ポルシェ同様のフラット6サウンドを奏でる。
足元に輝くのは超希少なBBSのレーシングGT-II。リムステッカー通りの鍛造マグネシウムモデルで、ホイールマニア垂涎の逸品だ。なお、コレクションの中で唯一のマルチリンク車で、日産系のハブが小加工で取り付けられたという。
内装はベージュレザーで統一。左右シートも張り替え済みのレカロを組み合わせることで、統一感溢れるインテリアを構築している。最近はオーディオ系イベントにも興味が出てきたそうで、今後は音響環境にも手を入れていく予定だ。
インプレッサ WRX STI(GC8)
知人が手放すということで、2021年にコレクションに加わったGC8。購入後に行なった作業はFR化とGDBの6速MTスワップ。元々、ドレスアップ系イベント用に作られた個体だったため、各部の干渉対策を実施しつつ、エクステリアを含めて大幅な仕様変更を計画中だ。
ヘッドライトはGF8同様に100系チェイサー用をコンバート。元々はクラッシュから復活する際に、より手頃なアイテムとして代用したのがきっかけだというが、現在では“三浦仕様”のアイコンにもなっている。
期間限定のアメリカ遠征も満喫中!
仕事の都合で、三浦さんは2022年9月から拠点をアメリカに移しているのだが、スバル車とドリフトに異常なまでの愛情を注ぐ男の熱量は凄まじく、なんと愛車のインプレッサスポーツワゴンも一緒に渡米させてしまったのである。現地では走行会やイベントに積極参戦するなど、Lowstarsの活動を世界規模で展開中とのこと。恐るべし!
PHOTO:堤晋一
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