「ある意味チューナーを超えている・・・」軽自動車に魅了された変態的エンジンマニアに迫る!

自宅にはJBエンジンスワップ車が整然と並ぶ!

プライベーターとは思えない程の設備とストックパーツ

変態的プライベーターとして、ドリフト業界では広く認知されている左武さん。3気筒が主流の軽自動車ワールドで、数少ない4気筒モデルのJBエンジンに惚れ込んだマニアだ。今回はそんな男の、隠れ家と作品に迫っていこうと思う。

これまで多くの想定外ドリフト軽自動車を製造してきた左武さんだが、その中で最もスケールの大きな作品がスーパー7をオマージュしたオリジナルマシンだ。

エンジンはもちろんJB型4気筒を載せているが、シャーシなどは自ら設計・製作したワンオフスペシャルなのである。しかし、ナンバーレスの競技仕様などではなく、しっかりと軽自動車登録したストリートスペックというから驚くばかりだ。

そんな男の自宅には、JBエンジンをスワップしたダイハツ660各車がずらりと並ぶ。手前のL700型ミラは、ドリフト仕様として現在製作中の個体。その奥に佇むウォークスルーバンは、奥様のお父さんが農業で使用するために購入した車両なのだが、うっかりJB-DETを換装してしまったそう。ここまでくると、もはや中毒である。

左武さんとJBエンジンの出会いは今から数十年前、通勤用にポンコツのL200系ミラを購入したことに始まる。過走行でどうにもエンジンの調子が悪く、通勤中にストップしてしまうこともしばしばだったそう。

「そんな時に、友人からJBエンジンを譲ってもらって。で、自分でスワップに挑戦したんです。一ヶ月くらいかかりましたね」と、左武さんは当時を振り返る。

続けて「初めてのスワップは苦労しましたが、JBエンジンの戦闘力にはビックリしましたよ。雨の日のシェイクダウンでホイールスピンが止まらなくて(笑) 十分すぎるパワーがあって、しかも高回転まで気持ち良く回ってくれる。JBってバイクみたいで楽しいエンジンだなって感じちゃったんです」。

現在息子さんと趣味で製作しているというコペンは、1万回転を楽しむNA仕様。JB-ELエンジンはL502ミラから流用しつつ、エキマニのサイズなども計算して高回転のフィーリングを突き詰めているのが特徴だ。

元々、凝り始めたらとことん深掘りする性分の左武さん。いつしかJBエンジンの“全て”を知りたいという探究心が芽生え、欲望のままに独自の研究を繰り返す日々が幕を開けた。

「JB/JCエンジンは色々と実験しました。どちらも触れば触るほど速くなって、さらにタービンの組み合わせ次第でパワーもどんどん高まる。そうなると今度はタービンにも興味が湧いてきて…この有様です。で、純正タービンを比べてみると、JBはタービンを小さくして出力を抑えていることが分かります。そのタービンを本来あるべきサイズに戻すと、エンジン本体がノーマルでも、刺激的でドリフトにも使える仕様になるんですよ」。

エンジンやミッション、トランスファーなどはすでにガレージには収まらないほどストック。ガレージとは別に倉庫も用意し、ハーネスなど様々な純正パーツも保管することで、10年後もJBを楽しむための環境を整えている。もちろんパーツだけでなくプロジェクトカーやドナーカーなども多数ストック。またガレージには溶接機はもちろんマシニング用の工作機械も導入、プロショップ並みの作業もこなす。

左武さんの知識量は凄まじく、現在では純正のパーツナンバーから互換性まで、JBに関するあらゆるデータが蓄えられている。そんな左武さんの知名度はプロショップの間でも噂となり、近年ではチューナーからアドバイスを請われるほど。まさに、プロ顔負けのスーパープライベーターと言うべき存在なのである。

「ドリフト歴はかれこれ13年くらいですかね。相棒のミラジーノは、JB-DETにVQハイフロータービンを組み合わせた100ps仕様ですが、かなり遊べますよ。作業も全て自分でやってるけど、もう今ではエンジン載せ換えは“降ろし1時間の載せ1時間”で完了するくらいになりましたよ(笑)」。

もはや職人技ともいうべき素早い作業。これこそJBエンジンを極めた極限マニアの姿というわけだ。

PHOTO&REPORT:渡辺大輔

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