「TE37V開発者が乗るコダワリ旧車がこれだ!」レイズ執行役員・加藤照幸【チューニング業界人のこんなん乗ってます!】

当時乗りたかったハイソカーを愛車に

大人の余裕とともに楽しむ6M-G搭載ソアラ!

モータースポーツに投入される最先端の解析技術を駆使した設計はもちろん、デザインやフィニッシュに関しても“自分が履きたい”をテーマに積極的な革新を図る。それが、ハイパフォーマンスな鋳造モデルを突き詰めてきたグラムライツの揺るぎなきスタンスだ。

そんなトップブランドを育て上げてきた立役者、レイズの加藤さんが所有しているのは10系ソアラのモデル末期に1年だけ販売された6M-G搭載の3.0GTだ。

「ソアラの前に乗っていたMX41マークIIもそうなんですけど、色々なクルマを乗りながら年齢を重ねていくと一周回って旧車が気になるんですね。ただ、当時乗っていたクルマをもう一度手に入れたからといって、青春まで甦るわけじゃない(笑) そこで、若い頃は走りありきでスポーツカーばかりでしたし、気になりつつも手を出さなかったハイソカーで乗ってみたかった仕様を実現することにしました」と、愛車に対する想いを話してくれた加藤さん。

イタルボランテとコラボしたステアリングはもちろん、フロアマットもレノマでコーデ。ハイソカーの象徴だったマルチインフォメーションメーターと相まって、80年代のラグジュアリーさが甦る。

ちなみに、このソアラを探す際に追求したのは、ハイソカーとしての風格を満たすサンルーフ・AT・リヤワイパーと内装の綺麗さだ。

まず、当時のソアラはサンルーフ・マルチ(マルチインフォメーションディスプレイ)・レザーシートという“ハイソカー三種の神器”、そして白と言えばクリームホワイトという概念を純白で覆してきたスーパーホワイトに注目が集まっていた。しかし、クルマを手に入れる前に完成形を思い描いていた加藤さんは、そこからもう一歩踏み込んで上級の証となるオプション装備まで吟味していた。

また、内装コンディションに拘ったのは、外装と違って内装のコンディションアップが大変と痛感していたため。80年代を席巻した高級ブランドであるレノマのインテリアパーツはMX41でコンプリートしたアイテムを再投入すると決めていたが、ベースコンディションが低ければ仕上がりにも影響するからだ。

張り替えたように見えるリヤシートは、センター生地以外をカバー化したワンオフ仕様。「一脚40万円の電動レカロなんか当時の自分じゃ絶対買えませんでしたね」とは、加藤さん。

グラムライツを率いつつ、旧車向けとなるボルクレーシングTE37Vも生み出した加藤さん。入手したソアラにもすかさずTE37Vをマッチングしたが、Lリムは攻めたサイズしかラインナップされていなかった。

そこで1920リミテッドモデルの製作時に、愛車のリヤにドンピシャとなる9.0Jプラマイ0×16インチのLリムを限定追加。職権乱用(?)とも言えるサイズ追加だったが、キャンバーを付けたNA/NB型ロードスターにドンピシャだったことから驚きのセールスを誇ったそう。

6気筒FRというのがハイソカーの定義だったが、車両探しはグレードよりも装備や内装コンディションを優先。つまり、レアな6M-G仕様の最終型を選んだのは偶然だったわけだ。なお、エンジンは長期保管を考慮してバッテリーの充電体制を整えた他は、オイル漏れの対処ついでにヘッドをオーバーホールした程度となっている。

様々なカスタムに取り組んできて加藤さんが行き着いたのは、ノーマル+αのスタイリングが一番という答え。純正オプションのリップを加えた程度のエクステリアだ。

しかしながら、細かくみていくとモールのシルバーペイントやAW11流用のポジション&ウインカーをクリアレンズ化するなどオリジナリティを効かせている。

拘りとともに加藤さんへ迎え入れられたソアラは、フルレノマ仕様のインテリアに深さが際立つTE37Vを履いたネオクラスタイルのハイソカーとして完成。快適な趣味クルマとして、日々大切に乗られている。

チューンドR30スカイラインで走り込んでいた当時へ戻るのではなく、心の中で気になっていた別の道を新たに歩む旧車ライフ。シンプルでいて味わい深い姿のソアラを見ていると、こうしたアプローチで“あの頃”を振り返るのも悪くないと感じさせられた。

●取材協力:レイズ TEL:06-6787-0019

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