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チューニングベースとしての実力は侮れない!
20インチを見事に履きこなす足回りチューンにも注目
軽自動車を含めたコンパクトカーからランエボ、インプ、GT-Rまで、幅広くチューニングを手掛ける“カンサイサービス”。今回取材したのは、そんな同社が手がけた12代目の180系クラウンアスリートだ。
国産ラグジュアリーセダンの代表格として、長い歴史と高いステイタス性を持つクラウン。GRS184型は315psを発生する3.5Lの2GR-FSE型エンジンを搭載し、専用チューンの足回りが与えられるなど、ノーマルでもスポーティな仕上がりを見せる。それをさらに引き出してやろう…というのが向井氏の狙いだ。
ホイールは前後とも8.5Jオフセット+45のヨコハマコニサーNo.151Cで、255/30R20サイズのアドバンスポーツが組み合わされる。マフラーはHKSリーガマックスプレミアムに交換。それ以外、エクステリアは基本的にノーマルだ。
チューニングのポイントはまずエンジンで、HKS GTスーパーチャージャーキットを装着。最大ブースト圧は0.5キロに設定され、パワーとトルクはノーマルの302.4ps/36.5kgmから351.7ps/45.1kgm(いずれも実測値)へと向上している。
ただし、エンジン上面が樹脂製カバーで覆われいるため、スーパーチャージャー仕様であることを示すのは、ここから見る限り、交換されたインテークパイプくらいなものだ。
スーパーチャージャー本体は作動音を大幅に低減した2GR専用品で、右バンクの下に専用ブラケットを介して装着される。キットはVACまでセットになったものと、VACレスの2種類を用意。いずれも、別途プラグとエンジンオイルが必要になる。
キットには吸気温度を下げて充填効率を高めるインタークーラーとパイピングが付属。フロント周りのスペースに余裕があるため、ボディ側には一切加工することなく装着できる。また、トラクションドライブ用のオイルクーラー(黒いコア)やオイルタンクなども含まれる。
また、スーパーチャージャーの作動音を大幅に低減し、純正エアクリーナーボックスを使うことで吸気音も抑えるなど、車内への騒音侵入を徹底的に排除している点も見逃せない。クラウンほどの車格になると、単純なパワー&トルクアップだけでなく、それと同じくらい快適性の確保も重要な要素になってくるのだ。
エンジンマネージメントは、専用F-CON iS+フィードバック領域の制御を可能にするOSCで対応。その間にある黒いボックスは、エンジンチェックランプの点灯を防ぐインジェクターアダプターで、いずれもキットに付属する。また、VACも必需品だ。
そんなエンジンと並んで注目したいのが足回り。HKSハイパーマックスCLXをベースにオリジナルセッティングを施したカンサイスペックが装着される。標準バネレートはフロント9kg/mm、リヤ8kg/mmだけど、取材車両はよりスポーティな方向に振るため10kg/mm、9kg/mmをチョイスしている。
向井代表いわく「20インチを履かせるんが大前提やったんで、足回りのバタつき感を抑えるのに色々と手を入れたよ。減衰力やバネレートはもちろん、バンプ側のストローク量まで見直しとるからな」とのこと。
ブレーキはプロジェクトμタイプNSパッドを装着。また、フェンダー内部には、バンパー開口部から走行風を取り込んでブレーキへと導くダクトを装備。ノーマルでもブレーキ冷却がしっかり考えられているのだ。
運転席、助手席ともにレカロLL100に交換。ホールド性の向上という機能面のメリットだけでなく、デザインやレザー表皮などもクラウンの車格に相応しく、ルックス面でも好マッチングを見せている。
試乗させてもらうと、2000rpm辺りからトップエンドまで全域でトルクが太くなっていることを体感。アクセルペダルに軽く足を乗せている感覚なのに、グイグイとクルマが前に出ていってくれる。これなら、ゼロ発進でも高速道路での追い越しでも、ドライバーの思いのままに加速できる。
それと、絶品だったのが足回り。20インチの30扁平タイヤを装着してるにも関わらず、路面が悪いところでも終始アタリが柔らかく、不快な突き上げ感は皆無。それでいて、ペースを上げていった時にはロールやピッチを適度に残しながら、安定した車両姿勢を生み出してくれるのだ。
これは、紛れもないスポーティセダン。試乗前に抱いてた「アスリートといっても所詮はクラウンなんだから、チューニングしても…ねぇ」という考えは見事に覆されたのだ。
TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)/PHOTO:伊藤吉行(Yoshiyuki ITO)
●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126
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