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旧車のコンディション維持は茨の道なのである!?
全方位スキ無しの仕上がりを見せるAE86トレノ!
小振りなボディにFR駆動というパッケージを採用するAE86は、長年ドライバーを育てる手頃なベース車として親しまれてきた。「頭文字D」などの影響もあり、近年では中古車相場が高騰してしまったが、それでもハチロクを求める人は後を絶たない。
今回紹介するトレノも、そんな稀代の名車に魅了されたオーナーが大切に育てているチューンドだ。
「購入して12年。通勤からスポーツ走行まで使ってるクルマなんですが、エンジンやボディのリフレッシュを中心にお金をかけてきました。細々とした費用まで全部含めたら、多分1000万円くらいはかかってます」と、衝撃的な事実を笑いながら話すオーナー。
続けて「とあるメディアでこの話をしたら”1000万円のハチロク!”って、ちょっと違う感じで取り上げられちゃったんですけどね(笑)」。
普段使いでストレスを感じさせないことを念頭に仕上げられたこのチューンド。心臓部はAE111Gという型式を持つ、スプリンターカリブBZツーリング用の5バルブ4A-Gをスワップ。戸田レーシングの鍛造ピストンやライジングのH断面コンロッドなどで内部を強化したハイコンプの180ps仕様だ。制御は純正ECU+トラストeマネージによるもの。
サスペンションはエレガントスポーツアジュールのブラックプログレススーパーダンパーで、スプリングはフロントにハイパコの5.4kg/mm、リヤにKMS(コシミズモータースポーツ)の3.5kg/mmをセット。ブッシュ類やスタビはTRDの強化品に交換している。ビス留めでワイルドな雰囲気を放つフェンダーはCBY(クリスタルボディ横浜)製だ。
ホイールは前後ともに15インチのボルクレーシングTE37Vで、8.5Jマイナス5を通しで履く。ブレーキチューンも抜かりはなく、フロントにNA1型NSX純正キャリパーを、リヤにAE111純正キャリパーをそれぞれ導入して強化済みだ。
室内はブリッドEXASIIIが装着されているくらいでストック状態をキープ。ミッションはTRDの3速クロスにリボルバーのオーバートップギヤを組み込む。メカニカルなデザインが特徴的な3連メーター(水温、油温、油圧)は、デフィのアドバンスCRだ。
エクステリアで最も目を引くのはリヤのダブルウイング。JブラッドのダックテールにボルテックスのGTウイングを組み合わせたもので、全開走行時のダウンフォースはハンパじゃないそうだ。
経年劣化した部分は徹底的にレストアし、エンジンは同型後継車種のものをスワップ。さらに電動パワステ化を中心にシステムの近代化を行うなど、令和に生きるチューンドAE86としてはもはや完成形に近いスペックを誇るパンダトレノ。
「部品がどうしようもなくなったらEV化したいですね。それくらいの心積もりで維持してます」。オーナーのハチロクライフはまだまだ終わらない。(取材イベント:All 86 Fan Meeting in 榛名)