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純粋な速さだけを突き詰めたアタック仕様ならではの作り込み!
純正比マイナス250kgもの軽量化を達成した超ライトウェイト仕様
ジェイズレーシングのタイプGTワイドボディは、サーキットで最速の称号を獲得するために企画されたフルエアロシステムだ。
一般的にワイドボディを選ぶ場合、ワイドタイヤの装着やトレッドの拡大を目的とすることが多い。ところが、このタイプGTワイドボディはそれだけでなく、”ボディ全体で強大なダウンフォースを生み出すこと”を最大のテーマとしている。特に前後フェンダーに大型のアウトレットダクトを配置した効果は大きい。フェンダー内で発生した乱流を効率よく排出してリフトを防ぎ、4輪の接地感を高めているのだ。
こうした機能性重視のプロフィールに注目したのが、このAP2のオーナー。実はこの車両とは別にストリート仕様のS2000も所有しているが、快適装備をフル搭載した重い車両でのアタックに限界を感じ、フルチューンの走行会仕様を手に入れ、リファインしていく手段を選択。さらに、トレッドの拡大とダウンフォースの向上というワイド化がもたらす恩恵に期待し、タイプGTワイドボディを導入したという経緯を持つ。
フロントワイド幅は片側60mm。タイヤハウス内のエアを抜くアウトレットダクトを設け、フロントリフトの抑制にも貢献。さらにカナードやアンダーパネルも追加し、ダウンフォース不足を補う。
片側75mmもの張り出しが与えられたリヤフェンダー。その恩恵を最大限に享受し、10.5J+18のワイドリム&ローインセットのボルクレーシングTE37SLと、295/35-18のワイドタイヤを装備する。
エンジンはF22Cをベースに戸田レーシングの2.4Lキットを組み込み、ジェイズレーシングでヘッドのフルチューンを行ったコンプリートモデル。戸田の4連スロットルと組み合わせにより、NAながら320psのピークパワーを発生する。
巨大な純正の燃料タンクを撤去し、ATLの30Lタンクを搭載して軽量化。燃料の偏りが発生しやすい純正に対し、インタンクコレクター式のためコーナーでの息継ぎなども回避しやすい。
一方のサスペンションはジェイズレーシングのSPL品(FR28kg/mm)で、路面状況への対応力を高めるためにレース用の調整式スタビを前後に組み入れている。車速向上に対応するためのブレーキは軽量な鍛造アルミ製の6ポッド。
鈴鹿のS字でスムーズに切り返すため、車高調でのセットアップを中心に前後のキャンバーやロールセンターも綿密に見直される。また、駆動系に与える熱害を軽減するべく、リヤには放熱性に優れたベンチレーテッドローターを採用。アーム取り付け部やストラット周辺は鉄板補強の跡も確認できる。凄まじい作り込みだ。
不要なものが徹底的に排除され、シンプルかつレーシングに仕上げられた室内。フルスポット増しなどの補強も加えられるが、9点式ロールケージの構成パーツは最小限に抑え、軽さと剛性を高次元でバランスしている。メーターはMAXレーシング製、ステアリングはMOMO、シートはレカロのSP-Aだ。
鈴鹿で行われたシェイクダウンでは、セッティングが全く出ていない段階のオーナードライブで2分22秒をマーク。それまでの仕様とは挙動が全く異なるため、ポテンシャルを引き出すには時間がかかりそうだとオーナーは言うが、目標としている2分14秒台が出るのはそう遠くないだろう。
●取材協力:ジェイズレーシング 大阪府茨木市畑田町10-17 TEL:072-645-3500
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