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トラブルが起こりやすい電装系のみをモーテックPDM15で制御
エンジンはL28改3.2Lフルチューンのキャブ仕様!
フルレストアと同時にボディ各部に補強を加え、シャシー性能からキッチリと高められたS30Zの登場だ。手がけたのは旧車チューンを得意とする“プロショップ・ナカガワ”。
スポット溶接増しはもちろん、開口部やフレーム、バルクへッドなどには補強材を重ね合わせるなどして、当時とは比較にならないほど進化したタイヤのグリップ性能を受け止める。車重は現状で900kgとのこと。
搭載されるエンジンは、L28ベースの3.2Lフルチューン仕様だ。燃焼室形状まで作り替え、50φのソレックスキャブレターを装備して350psを発生する。将来的にはECUによる電子制御化も視野に入れているという。点火系はワコーテクニカルの製品群で強化済みだ。
オルタネーターも現行に近いモデルのデンソー製を流用。コンパクトで発電量も高い上に、何より入手が容易なのがメリット。ステーやプーリーのカスタムセットアップはプロショップ・ナカガワの得意領域だ。
なお、エンジンはメカニカル仕様だが、電気系統はモーテックPDM15(ヒューズ機能が盛り込まれたスイッチング&ブレーカーボックスのPDMモジュール)によってイチから再構築され、その配線は汎用ワイヤーではなく軍事規格(MILスペック)の高品質タイプを使用しているほどだ。
また、S30の雰囲気を壊さないため、スイッチ類にあえてレトロ感が強いトグルタイプを使って仕上げているのもこのチューンドの特徴と言えよう。ちなみに、ミッションはOS技研の71Cクロスが採用されている。
一方のブレーキ系は、フロントキャリパーにウィルウッドのシステムを、リヤにはAE86用のリヤブレーキシステムを流用してディスク化。手に入りやすい時期は過ぎているため、流用パーツとして最適ではないかもしれないが、サイドブレーキワイヤーの取り回しまで含めて考えると、定番のシルビア用よりも使いやすいそうだ。キャリパーブラケットはオリジナルだ。
ブレーキの強化に伴い、マスターバック&シリンダーもシルビア用で大容量化。「S14以降のモデルだと、シリンダーがタンデム式で使い勝手が良くないので、流用するならS13がベストですね」と中川代表。
その他、駆動系は定番のR200デフを導入してR31用等速ドライブシャフトもセットするなど、全方位に渡って隙のないチューニングを敢行。キャブ仕様の魅力を残したまま、旧車の弱点でもある電装系トラブルを完全に排除したチューンドS30、魅力的すぎるだろう。
SPECIFICATIONS
■エンジン:亀有89.5φピストン、77度Iカム/キャリロ コンロッド/LD28クランク改/ATIダンパープーリー/ヘッド 燃焼室フル加工、46&38φバルブ(イスキーバルブスプリング)、41φハイポート/48φ等長EXマニ6-2-1/ソレックス50φキャブレター/トラスト ラジエター(R33用)、オイルクーラー ■ドライブトレイン:OS技研 71Cクロスミッション、トリプルプレートクラッチ/ニスモLSD(R200/3.9ファイナル)/R31ドライブシャフト ■サスペンション:テイン スペシャライズダンパー ■ブレーキ:Fウィルウッドキャリパー(290mmディスクローター) R AE86キャリパー&ローター ■ホイール:RSワタナベ(F15×8J R16×8J) ■タイヤ:ディレッツァ(F195/55R15 R225/45R15)
●取材協力:プロショップ・ナカガワ 兵庫県姫路市余部区下余部1239 TEL:079-272-3883
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プロショップ・ナカガワ
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