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GDB並みの動力性能で高い実用性を誇るスポーツセダン!
ブーストアップで完成する快速仕様の極意
走りを楽しめるのはもちろん、高い実用性も兼ね備えており、オールラウンドプレイヤーとして未だ根強い人気を誇るスポーティセダンBL5型レガシィB4。車重がGDBとほぼ同じで(+20kgの1480kg)、ホイールベースが長い分、前後重量バランスに優れる他、高速域でのコーナリング性能や直進安定性はむしろ良かったりする。
今回取材したフェニックスパワーチューンのBL5は、MTの6速化や、SIドライブが標準装備となったアプライドD型。スポーツマシンとしてより洗練されたこの型をベースに、スポーツセダンとしての性能を高めた一台に仕上げられている。
BL5に搭載されるのは圧縮比9.5+低ブースト仕様のEJ20Y。GDBの圧縮比8.0+高ブースト仕様EJ207とは基本特性が大きく異なる。フェニックスパワーでは純正タービンの性能をフルに引き出すメニューとして、吸排気+ECUチューンによるブーストアップを施している。中でもポイントになるのは、ブースト圧制御とECUセッティングだ。
まず、ブースト圧はブリッツデュアルSBCでコントロール。純正タービンは低中速トルクを重視したサイズであることに加え、オーバーシュートで中間域の立ち上がりを鋭くしている。それだけに高回転域ではどうしてもタレてしまうが、立ち上がりを抑えながら上でのブースト圧の安定化を図ることで、トップエンドまでスムーズに伸びていくパワー感を実現。
さらに、最大ブースト圧もノーマルの1.0キロから1.2キロへとアップ。インテークパイプはブーストアップによる抜けを防いで吸気効率を高めるため、アルミ製に交換される。
冷却効率はブリッツのコアを使ったワンオフ前置きインタークーラーで改善。また、高速巡航でも上がりがちな油温を抑えるため、オイルクーラーも追加されている。ちなみに、水温は電動ファンの緻密な制御によってブーストアップレベルなら問題無いということから、ラジエターは純正のままだ。
排気系はノーマル触媒にアペックスマフラーという組み合わせ。低中速トルクを確保しながら、純正タービンの容量を使い切る310ps前後の仕様であれば、これで十分だという。
ECUチューンにはECU-TEKを採用。「燃調や点火時期、AVCS、TGV(タンブルジェネレーターバルブ)などはもちろん、電子制御スロットルのマップがポイントですね。ノーマルはパーシャル領域で、アクセルペダル開度に対してスロットルの実開度が小さいので、踏んだ分だけちゃんと開くように書き替えてます」と、フェニックスパワー横山代表。
続けて「アプライドD以降はSIドライブが装備されてますけど、3つのモードは燃調や点火時期が全く同じで、違いは単純に電子制御スロットルのマップだけなんです。一方、アプライドC以前は2モードで、全てのマップが専用になります」。
足回りはアラゴスタ車高調にメルヴェスプリング(F9kg/mm R8kg/mm)でセットアップ。横山代表いわく「基本的に柔らかめでストローク感のあるセッティングです。このクルマに乗られる方の多くは、ピークを求めてないんです」とのこと。
また、ブレーキはフロントがレーシング6、リヤがレーシング4とエンドレス製で強化される。
以上のメニューで、最高出力はノーマルの260psから310ps(いずれも実測値)までアップ。同時に、多くのBL5オーナーが抱いているであろう「アクセルを踏んでも思ったように加速してくれない…」という不満も解消される。
ピークパワーよりも、日常域での気持ち良さと不満の出ない必要十分以上の速さ。オールマイティに使えるスポーティセダンとしての特性を伸ばした見事な調律術が光る一台だ。
●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
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