目次
2.2L+T78タービンで600馬力を発生!
蘇る90年代チューニングの魂
今から8年前に、名門チューニングショップ“フェニックスパワー”のメカニックからこの180SXを譲り受けたという森山さん。以降は、ストリート兼ドラッグレース仕様として自分好みにモディファイを進めている最中だ。
心臓部のSR20DETエンジンは、オーバーホールと同時に腰下にHKSのキャパシティアップグレードキットを組み込んで2.2Lまでスケールアップ。ヘッドも各部に加工を施した上で、作用角272度のハイカムを投入している。レブリミットは8000rpmの設定だ。
組み合わせるタービンはトラストのT78-29D。エキゾーストハウジングは最も小さい14cm2とすることで、低回転域からレスポンス良くブーストが立ち上がる特性を狙っている。最高出力は最大ブースト1.64キロ時に602ps/66kgmを誇る。
駆動系はOS技研のトリプルプレートクラッチ→亀有ワークスの3速クロスミッション→ニスモ機械式LSDという構成。ファイナルギヤは普段4.0にしているが、今回の最高速アタックを想定して3.5に変更したそうだ。
足回りはアラゴスタタイプSベースの特注車高調を軸に構築。スプリングレートはバンクでの縦Gに対応させるべく、フロント18kg/mm、リヤ14kg/mmをセレクト。全体的にストローク量を規制する方向でセットアップ済みだ。
ホイールは18インチのBBS LM-GPで、そこにアドバンネオバAD08R(F225/40-18 R255/35-18)を組み合わせる。ブレーキはエンドレスの4ポットキャリパーシステムでアップデート。
室内はストリート然とした仕上がり。限定のレカロSR-7クラシックとMOMOのF1コンセプトステアリングでドラポジを最適化。もちろん快適装備はフル搭載だ。
追加メーターはデフィで統一。Aピラーパネルにブースト計と排気温度計を収め、助手席側ダッシュボードに油圧計、油温計、水温計を埋め込んでいる。
エクステリアはドゥーラックのボディキットでコンプリート。180SXの社外エアロはドリフト系の末広がりタイプが定番だが、あえて往年の正統派ストリートスタイルでまとめ上げているのだ。
このチューンドを高速周回路で走らせた飯田章選手は「いやぁ懐かしい乗り味(笑) 最近はR35GT-RやGRスープラばかり乗っていたから、少し驚いちゃったよ。“こんなに真っ直ぐ走らないんだ!”って。パワー特性も昔ながらの中間から一気に伸びていく感じで、めちゃくちゃ楽しい。今や180SXは貴重だから、大切に乗って欲しいよね」と評価。
正式記録は264.09km/h。180SXベースとして考えれば十分すぎる結果だ。
中古車相場の異常な価格高騰によって、気軽にイジれるようなクルマでは無くなった感のある180SX。だからこそ、“走ってなんぼ”の精神でチューニングが進められたこの車両は、一際輝いて見えるのだろう。
●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
【関連リンク】
フェニックスパワー
http://www.phoenixs.co.jp