「S30Z用のプッシュロッドサス化キットとは一体・・・」現役学生ビルダーのアイディアが炸裂！

公開日 2024/05/18
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著者 weboption

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ノーズダイブ＆スクオッド解消で踏める足を実現！

エンジンパワーを無駄なくトラクションに変換する技

五大湖のひとつであるミシガン湖から程近い、ウィスコンシン州バトラーにある『アペックス・エンジニアード』。S30型、S130型、Z31型の歴代Zの他、510型ブルーバードなどのサスペンションパーツを独自開発している小規模メーカーだ。

S30型に関しては、前後のコントロールアームやステアリングナックル、調整式のタイロッド、車高調や大径ディスクブレーキの装着を容易にするフロントスピンドルといった、走りを楽しみたい本格派にとって痒い所に手が届く商品開発を行なっている。

中でも今回紹介する「トラック・アタック」と銘打たれた、前後のサスペンションコンプリートキットは、フロントにダブルAアーム、リヤにカンチレバーとプッシュロッドを使ったインボードサスペンションを採用している。

アペックス・エンジニアードは、そのメリットとしてロールセンターの最適化、アンチダイブ（減速時のつんのめり解消）、アンチスクオッド（加速時のそり返り解消）などを強調。リヤは370Z（Z34）の純正CVアクスルやデフを容易に流用できることも副産物として挙げている。

今はまだ知る人ぞ知る存在のアペックス・エンジニアードにとって、効果の検証と取り付け性などに関するフィードバックが重要。そこでガレージビルダーとのコミュニケーションも重視しているのだが、カリフォルニア州サウザンドオークス在住のケイデン・マーティンもサスペンションのR＆D（研究開発）に一役買う立役者だ。

まだ現役の学生で、学校ではエンジニアリングを専攻しているケイデン。趣味は愛車の75年式ダットサン280Zをイジることで、これまでにRB25DET＋5速MTの換装、ハルテックのフルコンで制御するにあたってのワイヤリングなど、走ることを意識したカスタマイズをガレージでコツコツと進めてきた。

タービンはプレシジョンの6262ボールベアリングタービンを装着。62φのコンプレッサーホイールを備え、最高出力は715psをターゲットにする。EXマニはSincoカスタムズのツインスクロール式。

タイミングベルトカバーにはRB26と刻印されているが、吸気側にNVCS（可変バルブタイミング機構）のカムプーリーが備わるRB25DETだ。

定番のグレッディインテークマニホールドやフューエルレール、エアロモーティブの燃料フィルターやレギュレーターを採用。凄まじく作り込んでいるという程のレベルではないが、20代の若者が高騰するS30をベースにガレージで作業していることを考えると納得。

FSRのラジエターとミシモトの電動ファンを取り付け。筒状のクーラントサブタンクを別体で取り付けるところが、いかにもアメリカ風だ。

インタークーラーのサイドタンクにグレッディのブローオフバルブを直付け。エンジン制御はハルテックのフルコンで行なっているが、PDMに頼ることなくオリジナルの配線も勉強しながら構築していった。

グリップロイヤルのステアリング、スピードハットのメーター、AEMのブースト計と空燃費計などを装着。自作のセンターパネルには燃料ポンプやファン、アンテナなどのトグルスイッチを備える。シートはレカロのポールポジション2脚、SCHROTHの4点式レーシングハーネスを合わせる。

駆動系はドライブシャフトショップのカスタムプロペラシャフト、フォードエクスプローラーの8.8ディファレンシャルと3.73のファイナルギヤ、イートンのトゥルートラックLSD、370Z純正ホイールベアリング、そしてリヤサスに付属されるドライブシャフトを使用。デフ後方に見えるのは、リヤサスに付属されるビレットブレースだ。