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違和感なさすぎのGノーズ化に2JZスワップも実施!
世界の三浦流モノ作りの真骨頂!
今アメリカのカスタムシーンで最も影響力のある日本人は?と問えば、多くの人が名前を挙げるであろうTRA京都の三浦慶さん。出世作となったロケットバニーのトヨタ86/サイオンFR-S用ボディキットは、日本よりも海外で火が付き、三浦さん自身のワイルドな風貌とともにSNSを席巻した。
また、三浦さんのエアロデザインと、それを3次元化する手法が極めてデジタルで先進的なものであることが知れ渡ると、さらに知名度がアップ。精力的に車種専用ボディキットを開発する一方、生前のケン・ブロックなど多くの著名ビルダーからオーダーを受け、求めに応じたワンオフのボディパーツも数多く手掛けてきた。
自ら作るにせよ、他人に請われて作るにせよ、三浦さんがボディキットをクリエイトする上で基本的な判断基準としているのが、自分の好きなクルマか、作ってみたいと興味をそそられるクルマかどうか。何セット売れるかという算盤勘定より、どうしたら本質的にカッコ良いクルマになるかという、純粋な追求心をモチベーションにしている。
そんな三浦さんは、最近ボディキットだけに留まらず、クルマを一から製作するビルダーとしての活動も積極的に進めている。その最新作のひとつが、2023年のSEMAショーに出展されたS130Z。厳密には左ハンドルの北米使用で、ダットサン280ZXというのが正しい。
製作のきっかけとなったのが、日本でも人気のミニカー「ホットウィール」とのコラボ。ロケバニ/パンデム使用のミニカーを市販化するプロジェクトが企画されたのを機に、“ならば実車も作ってしまおう”と自ら製作に着手。いわゆるGノーズを彷彿とさせるS130用ボディキットをデザインしただけでなく、エンジンの載せ替えや足回りのアーム類のワンオフ製作、はてはクラシックレーサーを再現した塗装に至るまで、ほぼ全ての作業を三浦さん自身が行なった。
240ZGの雰囲気を再現したフロントバンパーの他、レーシーなワイドフェンダー、スリムなサイドスカートとリヤバンパー、ダックテール型のリヤウイングなどをクリエイト。製品にはヘッドライトカバーやベゼル、ウインカーなども設定されている。そのデザインは3Dスキャナーでスキャンした車体データをライノセラスという3Dモデリングツールで読み込み、車高のダウン量やホイールのリム幅をシミュレーションしながら行なうというデジタルな手法を取る。
エンジンは2JZ-GTEを選択。三浦さん曰く「ハイオクで600psくらい出てるかな?」とのこと。エキマニはニュージーランドのSINCO製で、ダイレクトイグニッションは日本のイグニッションプロダクツ製を採用。その他、中国のアリエクスプレスで調達したというタービンを始め、三浦さん自身も「よく分からんやつ」と語る部品が数多く使用される。
3連電動ファンを備えるラジエターはラゲッジルームに備わり、ボディサイドから伸びるエアダクトで冷却風を送るリヤラジエターを採用。
ホイールは、サイズ設定が極めて緻密に用意されているワークマイスターL1の18インチを使用。三浦さんはPC上でフェンダーをデザインする時、先にホイールのサイズを決めてから取り掛かるそうだが、今回は自分でアーム類も設計することによって、完全に落とし切った車高を実現。フェンダーの出面、ホイールのリム幅、車高を全て自分自身でマッチングさせるという神の領域とも言えるモノ作りだ。
ちなみに、前期型の280ZXは径の太いインテグラル型パワステを備えるため、FD3S純正のラック&ピニオンを反転させて装着。タイヤはトーヨーのプロクセスR888R(F:235/40−18 R:265/35−18)が組み合わされる。
インテリアには、フォーミュラDのレギュレーションに合致するクロモリ鋼のロールケージを装着。ブリッドのXEROフルバケットシート、ハンドブレーキレバーなど、ドリフトのための操作環境を整える。一方、リヤラジエター化したことで室内に設けられた水回りの配管を隠すためのカバーをFRPで製作。自由自在にどんな形状でも作れてしまう三浦さんならではのクリエイションが随所に見て取れる。
三浦さんがデザインしたレンダリングデータをもとに作られ、NISSANロゴの使用ライセンスも取得した1/64スケールミニカーは、ホットウィールのElite 64という上級シリーズから発売。もちろん、実車用のボディキットもパンデムUSAを通じて販売されている。
現実に存在するクルマがミニカーになることもあれば、ミニカーをモチーフに実車が製作されることもあるが、今回は実車もミニカーも、稀代のクリエイターKeiMiuraのセンスと遊び心から創造された賜物。クルマ好きもミニカ一好きも虜にする、スケールの大きなプロジェクトが完遂された。
PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI
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