90年代のステーションワゴンブームを牽引した3代目(カローラシリーズとしては7代目)カローラツーリングワゴン「BZツーリング」。5バルブの4A-GEエンジン+6速MT(1996年モデル以降)という走りのパッケージで、当時のクルマ好き達を興奮させたスポーツワゴンの筆頭である。そんなBZツーリングでサーキット走行を楽しんでいるオーナーが今回の主役だ。
「大昔はRE雨宮のシャンテに乗っていましたね。その後、RX-7などを乗り継ぎ、買い物グルマとしてBZツーリングを買ったんです。これが面白くて」とオーナー。チューニングの推も甘いも知った男が辿り着いたクルマ、それがカロゴンだったわけだ。
続けて「カローラフィールダーの6速MTに浮気した時期もあるんです。エンジン(2ZZ-GE)はパワフルだったんですけど、ABSの制御が今ひとつで、カローラの方がブレーキングのコントロールがしやすかった。で、BZツーリングに戻っちゃいました」。
エンジンは吸排気を最適化したファインチューン仕様。サーキット走行時は快適装備を撤去して車重を1071kgまで抑えているため、165psのパワーでも十分走れるのだ。なお、駆動系にはクスコの機械式LSD(1WAY)を投入して旋回性能に磨きをかけている。
サーキットでの連続周回にも耐えられるよう、ビリオンのローテンプサーモとオイルクーラーをインストール。これだけで各温度を気にすることなく走り回ることが可能とのこと。
エキゾーストマフラーはAE101G用のラインナップが存在しなかったため、AE111用のフジツボ車検対応モデルをセット。そのままだと長さが足りなかったため、埼玉県の“レーシングスポーツ・アクティブ”で、延長&ドルフィンテール化した。
ボンネットはカーボン製に変更して軽量化を推進。サーキット走行時は助手席やリヤシートを撤去し、即席の軽量化を行って走っている。
ステアリングはMOMOのディープコーンをセット。メーター脇に設置されたラップタイマーがサーキットスペックの証だ。また、センターコンソールにはデフィのDINゲージを追加。
ドライビングシートには、長らく愛用しているレカロのフルバケットを搭載。タカタの4点式レーシングハーネスも備えて、ホールド性は良好だ。
チューニングとしてはごくスタンダードな内容だが、これだけのメニューで筑波サーキットを1分09秒148で走るというから、そのパフォーマンスは十分すぎるほどだろう。
なお、サーキットに出撃する時はラゲッジルームに本番用のアドバンA050×4本と工具類を積み込むそうだが、もちろんスペースは余裕。この広大な荷室空間もステーションワゴンのメリットだ。
日常の足として使い倒せる実用的なワゴンでありながら、ひとたびアクセルペダルを踏み込めばスポーツカー真っ青の戦闘力を発揮する。まさに、羊の皮を被った狼だ。