「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷

車種を問わず4WDを手掛けてきた名匠が語る!

確実なコントロールが得られる横置きFFベースの4WDは強い

ランサーエボリューション&4WDチューンのオーソリティとして知られる“ガレージGフォース”。代表の田澤さんはチューニング黎明期のキャブ時代から、GRヤリスなどの最新モデルまで、新旧訪わずそしてさまざまなエンジンや駆動方式の車両のチューンを経験・探求し続けてきた。そんなGフォースの代表、田澤さんが経験したスポーツ4WDの進化や魅力について聞いてみた。

「ことハイチューン車両に関して言えば、ステージを問わずに速く、楽しく、そして安定しているのは未だにランサーエボリューション。FFベースの4WDはダイレクトな挙動が得られるから、スリップしてからフロントに駆動を移すアテーサなどFR系の4WDより安定感は上。ランエボ系に関してはチューンを前提に進化したから、メカニズムの熟成度も高く、パワー耐性もかなり高くなっている。いずれはGRヤリスなどのGR-FOURシステムが超えていくかもしれないけれど、制御が複雑すぎることもあるし、チューニングの世界のパワー競争についていけるのかはまだ未知数です」とは田澤さん。

Gフォースがオーソリティと言われる所以は、その守備範囲の広さ。現在はランエボやGRヤリスをメイン車種としているが、古くはファミリア4WDやセリカ、そしてランエボシリーズの対抗馬だったインプレッサ、第二世代&R35GT−Rなど、ひと通りこなしてきた。

まず乗用車4WD黎明期。原点とも言えるのは「レオーネ4WD」で、砂利や雪道などでの走破性は高かった。しかし、コントロール性が悪く、パワーロスも多く、とても速く走って速く曲がるを実現することは出来なかったという。実際、レオーネ4WDはFFベースの切り変え式4WDで普段はFFで運用というのが基本、安定した舗装道路ではあまりメリットはなかった。

しかし、各自動車メーカーはそのメリットも見通していて、その後4WDの制御システムをあれこれ開発。グループBラリーの頃からスポーツ4WD時代がスタートする。

そんな時期、独立前の田澤さんの仕事で多かったのが4WDの海外ラリー参戦車両や、海外輸出に向けた競技車両の製作だったという。ファミリアGT-X、セリカGT-FOUR、ブルーバードやパルサーGTi−Rなど、ラリー向け4WDスポーツが次々と開発された時期だ。

「ラリーは4WDでなくては勝てない」という風潮が強まる中、周回レースにもそのメリットは活かされ、縦置き6気筒、アテーサ搭載のBNR32もデビュー。海外でも多くのスポーツ4WD車両が開発され、その駆動力の活かし方も模索されていった。ちなみに、田澤さんの地元が青森だったこともあり、土地柄、走り屋たちにも4WDが好まれたという環境もあり早い時期に多くの4WDチューンを経験したのだ。

4WDチューンが花開いたのは、やはりBNR32の登場した1990年ごろから。同時期にスバルからGC8、トヨタからST205、そしてミツビシからCD9Aなどなどが世に送り出され、チューニングにも4WDムードが一気に高まった。

同時期に巻き起こっていたゼロヨンブームでもそのトラクション性能の高さは人気を博した。田澤さんが独立開業した時期、青森のストリートゼロヨンでは“4WD軍団”と一目置かれる存在となった。競技系のゼロヨンでも常勝マシンとして、Gフォースのランエボ3は注目を浴びた。

しかし、爆発的に進化したパワーチューンと4WDの掛け合わせでは、4WD構造の各部、駆動系の強度不足への対応では四苦八苦。一ヶ所解決すると次の場所が破損するというイタチゴッコが続いた。それでも日本車人気が手伝って、国内外で高品質なパーツが開発されるようになりパワー耐性が整っていった。

そしてゼロヨンブームが落ち着いたことで盛んになったのが、サーキットシーンでのタイムアタック。きっかけは「ドラッグマシンの仕様変更で筑波何秒が出せるか?」というもの。実際に筑波に持ち込むと、多くのショップが“分切り”を目標とする時期にあっさりと58秒台を達成。さらにちょっとアップデートしたら57秒という数字が出ころもあって勢いにがついた。

結局このチャレンジはランサーエボリューションIXまで、2018年まで続き52秒391の記録を達成。現在でもチューニングカーランキングの5位に君臨している。

ちなみに、ランサーエボリューションに関して言うなら、メカニズム的には、筑波以下の小規模サーキット志向の車両を除くと、ACDやAYCをキャンセルして機械式にするメリットはあまり多くないと考えているそうだ。

そして、その後進化した4WDを搭載する代表的な車種といえば、R35GT−RとGRヤリス。これらの車種に共通して言えるのは、とっかかりはすごく速くて誰でも操れるイージーさを感じるが、極めようとするとその先が見えなくなるってこと。

とはいえ、新たな4WDシステムGR-FOURは、素晴らしい進化。今後パワーチューンに対応させ、究極の速さを得るための活用術が見いだされていくことだろう。

1 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の1枚めの画像

2 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の2枚めの画像

3 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の3枚めの画像

4 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の4枚めの画像

5 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の5枚めの画像

6 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の6枚めの画像

7 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の7枚めの画像

8 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の8枚めの画像

9 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の9枚めの画像

10 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の10枚めの画像

11 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の11枚めの画像

12 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の12枚めの画像

13 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の13枚めの画像

14 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の14枚めの画像

15 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の15枚めの画像

16 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の16枚めの画像

17 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の17枚めの画像

18 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の18枚めの画像

19 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の19枚めの画像

20 / 20

「「4WD技術の発展がチューニングを変えた!」名チューナーが語る4WDの進化とチューニングの変遷」の20枚めの画像

●取材協力:Gフォース 神奈川県横浜市鶴見区獅子ヶ谷2-39-68 TEL:045-716-8013

「目指したのは“大人”が乗れるランエボX」美しすぎる漆黒のCZ4A、その中身に迫る

「これがランエボVIIIの最新スペックだ!」超トルクフルな2.3L仕様にズームイン!!

【関連リンク】
Gフォース
http://www.gf-eng.co.jp/index.html

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption