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25年連れ添う相棒は1JZ-GTE+シングルターボで450馬力仕様
『よろくしメカドック』が全ての始まりだった
小学4年生の頃、週刊少年ジャンプで連載中だった『よろしくメカドック』の主人公・風見潤が駆るセリカXXに一目惚れ。「大人になったら絶対にセリカに乗る!」と心に誓い、学生時代はクルマ購入のためにバイトに明け暮れた。そして二十歳の時に、念願叶ってセリカXX(GA61型)を手に入れる。10年越しの想いが結実した瞬間である。
「あれからもう25年くらい経ちますね。途中、他のクルマに浮気もしましたが、セリカだけは手放しませんでした」。手入れの行き届いた相棒を眺めながらオーナーが語る。
しばらくはフルノーマルで峠を走っていたが、レベルアップを目指してパワーチューニングを決意。とはいえ、1G-GEUのままイジったところで面白くないし、コストパフォーマンスも悪い。そこでオーナーが選んだのは、当時ではまだ誰もやっていなかった1JZ-GTEヘの載せ換えだった。ドナーとなったベースエンジンはJZX81マークII用、今から19年前の話である。
しかしこのスワップには思わぬ誤算があった。それが車両バランスの悪化だ。「めちゃくちゃ速くなりましたよ。でも、クルマのバランスが崩れて峠でまともにアクセルを踏めなくなっちゃったんです(笑)」。
峠を諦めたオーナーが次にハマったのは、ストリートゼロヨンだった。このステージは言うに及ばず力こそ正義の世界だ。次第にチューニングがエスカレートしていき、エンジン換装から1年半後にはタービン交換まで行なっていたそう。
「僕が通っていたゼロヨン会場では、TMワークス(石川県のチューニングショップ)軍団の独壇場で。どうにかして奴らを打ち負かしてやろうと必死でした。それが今では、TMワークスでセリカの面倒を見てもらっているんですから、人生って分からないですよね」とオーナーは苦笑する。
モアパワーを求めてオーナーが選択したタービンは、ウエストゲート式のGT3037S。エンジン腰下が純正のためブーストは1.3キロに抑えているが、それでも450psを発揮する。エンジンマネージメントはF-CON Vプロが担当する。
エキゾースト環境は、HKSのスポーツキャタライザーにワンオフマフラーという合法仕様。JICのチタンテールサイレンサーを流用し、旧車感を払拭しているのもポイントだ。
足回りはコニのフルオーダー車高調に、スウィフトスプリング(F10kg/mm R5kg/mm)の組み合わせ。アッパーマウントはクスコの調整式を奢る。かなりのローフォルムだが『低くカッコ良く』がオーナーのモットーだ。
ホイールは深リムのSSRプロフェッサーMS1(F8.5J+18 R10-1)。組み合わせるタイヤは、フロントがATRスポーツ(215/45-17)でリヤがR1R(225/45-17)。フェンダーはリヤこそ10mm程度の叩き出し加工が行われているが、フロントはノーマルのままだ。
TBO製ロールケージが装備された室内は、いかにもストリートドラッグ仕様らしい仕上がり。ステアリングはナルディクラシック。ダッシュボード上には、シフトランプ付きの120φオートメーター(1万rpmスケール)や、デフィの60φメーター(ブースト、排圧、燃圧)が美しくマウントされている。
ミッションはMZ20ソアラの5速を流用。シフトゲート前のオーディオスペースには、オリジナルパネルを装着して1DINデッキとデフィの3連メーター(油温、油圧、水温)を収めている。
そしてボディ。もはや新車レベルのコンディションなのだが「元々、洗車好きって言うのはあると思います。それこそ昔は、毎週金曜日に洗車してから走りに行くのが決まりでしたから。で、磨きすぎて下地が出ちゃって(笑) それで10年くらい前にオールペンしました」とのこと。
ちなみに、このホワイトは鈑金屋と何度もやり取りして決めたオリジナル。パールのギラギラ感を意識した調合としているのがポイントだ。
エクステリアを覆うエアロパーツは、フロントがJZA70スープラ用リップ改で、その他はアトミック製。どれも今では手に入らない絶版パーツばかりのため、何かと気を使っているそう。
「これまでに壊れたのは、ペラシャ2回、ミッション2回、デフは…3回かな? パーツの確保など大変ですけど、一生乗り続けますよ!」。なるほど、このセリカXXが放つ異常なまでの色気と輝き、その源は“オーナーの大きな愛情”に他ならないというわけだ。
●取材協力:TMワークス 石川県小松市長崎町1-101 TEL:0761-58-1038
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