「まだまだあるぞ国産4WDスポーツ!」アンチランエボ&インプ派の選択肢

マニアックなモデルにも目を向けるべき!

国産スポーツ4WDの代表格と言えば、ランエボインプにGT-Rというのは誰もが認めるところ。どれもパフォーマンスが高く、パワーアップに対する耐久性にも優れてるから、いまだに人気を集めていることにも納得だ。その一方で、「人気モデルじゃ面白くない…」や「他人とカブるのは嫌」など、何かと理由を付けてメジャー路線に迎合することを良しとしない層がいるのも事実。そんな、世間一般では“ひねくれもの”と認識されてる連中に向けたのがこの企画。自分にとってベストな1台をぜひ見付けてほしい。

三菱 ギャランVR-4(E39A)

4G63ターボとフルタイム4WDを搭載し、グループAで争われるWRC参戦のベース車両として1987年に登場。翌年追加されたRSは快適装備を外し、アンダーコートやABSも省略してベース車比40kg減を実現した競技ベースモデルだ。前期型205ps、中期型220psだった4G63ターボは、タービンの仕様変更やインタークーラーの大型化、マフラーメインパイプ径の拡大によって後期型では240psに到達。取材車両は後期型4WS付きで、4WSなしの車両型式はE38Aとなる。

スバル レガシィ RS type RA(BC5)

経営難に陥っていたスバルの救世主、初代レガシィの登場は1989年。新開発EJ20ターボに5速MTを組み合わせたRSがスポーティグレードとして用意された。のち、競技ベースモデルRSタイプRにSTIが更なるチューニングを施したのがA型で限定100台、B型以降は受注生産とされたRAタイプRAだ。最高出力220psはベース車と変わらないが、吸排気ポート段付き修正や各部バランス取りを実施。職人の手作業によって組み上げられたスペシャルエンジンは、ゴールドのカムカバーがその証だ。足回りやステアリングギヤボックスも専用品が与えられた。

マツダ ファミリア 4WD DOHC TURBO GT-X(BFMR)

1985年登場の6代目BFファミリアにラインアップされたGT-X。1.6Lクラス最強の140psを誇ったB6ターボを搭載し、フルタイム4WDで駆動した。それまで国産メーカーで4WDと言えばスバルだったけど、当時はまだパートタイム式しかなく、オンロード型スポーツ4WDでは見事にマツダがスバルを出し抜いたのだ。また、国産で初めてビスカス式LSDをリヤデフに採用した競技ベースモデルGT-Aもラインアップ。1987~1989年にはWRCに本格参戦して計3勝を挙げた。

マツダ ファミリア GT-X(BG8Z)

B6ターボに代えて1.8LのBPターボを搭載したBGファミリアGT-Xの登場は1989年。最高出力は180psに向上し、フルタイム4WDシステムはリヤデフに加えてセンターデフにもビスカス式LSDを搭載することで、センターデフロックスイッチが省略された。また、競技ベースモデルGT-Aの他、1992年には前置きインタークーラー化で冷却性能を高め、最高出力を210psに向上させたGT-Rを発売。それをベースとした競技向けグレードGT-Aeもラインアップされた。

ダイハツ ストーリアX4(M112S)

元祖リッターカーのシャレード的な位置付けで1998年に発売されたストーリア。その競技ベースモデルがX4(クロスフォー)だ。エンジンは713cc直4DOHCターボのJC-DET。後に軽自動車に載せられるJB-DETの先行開発という意味合いも持っていた。最高出力120psで、専用レシオが与えられた5速クロスMTを搭載。当初、受注生産だったけど1999年にはカタログモデルに昇格した。画像は宇宙人顔の前期型。2001年以降の後期型は通称イヌ顔と呼ばれる。

ニッサン パルサーGTI-R(RNN14)

グループA規定の下で競われるWRCへの参戦を目的に開発。1990年に発売され、4連スロットルが採用されたGTI-R専用となるSR20DETは230psを発揮した。また、4WDシステムにアテーサ(前後トルク配分型のE-TSではない)を搭載したことでBNR32の弟分的な存在と言えた。全長4m以下、車重1220kgと軽量コンパクトな設計だったけど、フロントヘビーな前後重量配分でアンダーステア傾向が強く、エンジンルームの狭さに起因する熱の問題も付きまとった。

トヨタ セリカGT-FOUR RC(ST185H)

ラリーコンペティションの頭文字をグレード名に掲げ、1991年に発売されたグループAホモロゲモデル。235psを発揮する3S-GTEはメタルタービンや水冷式インタークーラー、大口径フラップ式エアフロ、タイミングベルト&オルタネーター冷却ダクトなどを採用。GT-FOURをベースとしながら、各部には実戦的な改良や手直しが施されていた。その一方、オートエアコンが標準装備され、オプション設定で電動サンルーフも用意。普通に街乗りもできてしまう競技ベースモデルだ。

ダイハツ ブーン(M312S)

ストーリアX4の後継機として2004年に登場。新開発936cc直4DOHCターボのKJ-VET型エンジンは133psを発揮し、5速100km/h時に4400rpm(!)という超ロ―ギヤードな専用5速フルクロスMTが組み合わされる。ストーリアX4と大きく違うのは快適装備を持ち、質感も高めたハイグレードパックがラインアップされたこと。エアコンや電動格納式ドアミラー、キーレスエントリー、14インチアルミホイールなどを備え、日常的な街乗りを可能としている。取材車両が、それだ。

ニッサン ブルーバードSSS-R(RNU12改)

全日本ラリー制覇を目的に開発され、1987年に発売。取材車両は前期型で、コスワース製鍛造ピストンや専用EXマニ&タービンでチューンされたCA18DET-Rを搭載する。最高出力は185ps。ちなみに、後期型は素のSR20DET(205ps)に変更されるため、スペシャル感は圧倒的に前期型の方が高い。乗車定員は2名が基本で(後席付き4名乗車仕様も選択可能)、大型フォグランプや4点式ロールバーなど実戦的アイテムが用意された本気の競技ベースモデル。

ダイハツ ジェミニ イルムシャーR(JT191S)

1991年、まず4ドアセダンにラインアップされたイルムシャーRは、翌年2ドアクーペと3ドアハッチバックにも追加。1.6L直4DOHCターボの4XE1-Tは当時テンロククラス最強となる180psを誇り、ボディ形状に関係なく車両型式はJT191Sとなる。リヤには開発者の名前に由来する通称ニシボリックサスを採用。これはステアリング操作でヨーが発生すると外側後輪がまずトーアウトに、続いてロールが始まるとトーインにステアする受動型4WSだけど、評判は今一つだった。

イルムシャーRで印象が強いのは4ドアセダン。1990年代初頭、N1耐久クラス2でのシリーズタイトル獲得、全日本ラリー&ダートラでのクラス優勝など、モータースポーツで輝かしい戦績を残した。

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