ちょうど1年前、2025年7月に記事で取り上げた、大黒PAで起きたナンバープレートの角度を巡る一連の出来事を覚えているだろうか。
RE雨宮のフルエアロをまとったコンバーチブルのFD3S型RX-7で大黒PAを訪れたスターダストファクトリー(以下SDF)の押田さんが、現場の警察官から「ナンバープレートは垂直でなければ違法」と指摘を受けた、あの一件である。
当時、法規に則ったカスタムを施していたにもかかわらず、現場での法令解釈との相違によって混乱が生じた。この状況に対し、当事者であるSDFの押田さんは、感情的に対立するのではなく、公的な手続きを通じて神奈川県警察本部および神奈川県公安委員会へ文書による正式な確認を求めた。
8か月後に届いた回答
その結果、大黒PAを管轄する分隊の小隊長から口頭で謝罪があり、文書提出から8か月後、神奈川県警から「当時のナンバープレート角度に関する法規の適用について誤認があった」とする回答が届いた。

今回の件で改めて感じたのは、「取り締まる側も人間であり、複雑な法規の解釈において誤認が生じることはあり得る」という事実だ。
だからといって、ここぞとばかりに警察を批判しても何も変わらない。むしろ警察側もユーザー側も、「法律を正しく理解すること」の難しさを改めて認識する機会と捉えるべきではないだろうか。
これまで慣習的な運用によって誤認が認められにくい側面もあったと考えられるが、「取り締まりにも誤認が起こり得る」という前提を双方が共有し、法規に基づいて冷静に向き合う姿勢が、これからはより重要になっていくはずだ。
双方が法規への理解を深めることで、不必要なトラブルを避け、チューニング&カスタムカー文化と適正な取り締まりが共存できる環境が築けるのではないだろうか。

文書による意見の提出をする際の注意点
今後、自身のチューニングやカスタムについて疑問を感じるような出来事に直面した場合は、現場で押し問答をするのではなく、このような公的な手続きを通じて事実確認を行うことも、一つの方法と言える。
ただし、提出する文書には厳格な要件があり、不備があっても連絡は来ない。また、受理された場合でも、提出者側から問い合わせをしない限り、受理・不受理の通知も行われない。
実際、今回のケースでも「文書を受理するかどうか」の判断に4か月以上を要し、その受理についても電話で問い合わせを行って初めて確認することができた。その後の回答にもさらに時間がかかり、文書が発送され手元に届くまで進捗状況は分からなかった。
これらについては、文書提出時にもあらかじめ説明を受けており、実際の対応もその説明どおりだった。つまり、このような手続きは短期間で結論が出るものではなく、十分な準備と長い時間を要することを理解しておく必要がある。
いずれにせよ、今回のナンバープレート角度問題については、「誤認があった」という回答を得られたことで、一応の決着を見ることとなった。
今後、同様の誤認による取り締まりが起きないことを願いつつ、最後に現行のナンバープレート表示基準を改めて掲載しておく。ナンバープレートの取り付け位置や角度を変更しているオーナーは、この機会にぜひ一度確認してほしい。
【参考】ナンバープレート表示の新基準(再掲)


国土交通省が公開している「ナンバープレートを見やすく表示しましょう」の資料を参考に、改めて現行の基準を確認しておこう。
掲載している2枚の画像は、国土交通省のWEBサイトで公開されている資料をもとにしたもので、令和3年4月1日(資料中では平成33年4月1日と表記されているが、ここでは令和3年に改めている)以降に適用される新基準がまとめられている。
注意したいのは、1枚目の内容は平成28年4月1日以降、すべての車両を対象に禁止されている事項であること。一方、2枚目の新基準は、令和3年4月1日以降に初めて登録・検査・使用の届出が行われる車両に適用されるもので、その後、猶予期間の延長により令和3年10月1日以降に初めて登録等を受ける車両へと適用開始時期が変更されている。
改正施行以前のクルマについてのレギュレーションを確認
改正以前に登録された車両についても確認しておこう。
対象となる現行車よりも、改正前の基準が適用される車両の方が圧倒的に多いため、先に結論を述べると、令和3年3月31日まで(実際には猶予期間が設けられたため、令和3年9月30日まで)に登録・検査・使用の届出が行われた車両については、今回の法改正で定められたナンバープレート角度の数値基準は適用されない。
少々分かりにくい表現になるが、国土交通省のWEBサイトには「令和3年9月30日までに登録・検査・使用の届出がある自動車については、自動車の運行中、番号が判読できるような見やすい角度で表示し、番号を被覆せず、脱落するおそれがなく、判読できるフレームまたはボルトカバーを装着することができる」と記載されている。
つまり、この時期までに登録された車両については、今回の数値基準は直接の適用対象ではないと考えてよい。
ただし、「ナンバープレートを見やすく表示しましょう」の資料にもあるように、ナンバープレートを折り曲げたり、大きく回転させたりする取り付け方法は、平成28年4月1日以降、登録時期を問わず禁止されている。
心当たりがある場合は、この機会に愛車の状態を確認し、必要であれば是正してほしい。
もちろん、数値基準の対象外だからといって、まったく自由というわけではない。
以前から「自動車の運行中、番号が判読できるよう、見やすい位置に取り付けること」という規定は存在しており、その点については従来どおり守らなければならない。
今回の法改正によって現行車には具体的な角度基準が設けられたが、それ以前の「見やすい位置」という規定には数値基準が存在しなかった。そのため、今後は現行基準が「見やすい位置」を判断する一つの目安として扱われる可能性はあるだろう。
とはいえ、厳密な角度基準への適合が求められるのは、新基準が適用される車両のみである。
したがって、改正以前の車両に対して新基準の数値を当てはめ、「基準値を超えているから違反」と判断するのは、本来の法解釈とは異なるケースも考えられる。
あくまでも争点となるのは「見やすい位置に取り付けられているかどうか」であり、新たに定められた数値基準への適合は、現時点では直接関係しない。
今回のような事例をきっかけに、将来的には改正以前の車両についても数値基準が設けられる可能性はあるかもしれない。
ただし、その場合でも関係省庁による調整や十分な周知期間が必要になるはずであり、突然法改正が施行される可能性は低いと考えられる。


新基準適合のクルマについてはチェック項目が増えている
では、新基準が適用される車両についてはどうだろうか。
令和3年4月1日の法改正で問題となるのは、道路運送車両法および関係省令によって定められたナンバープレート表示義務である。
法律では、自動車登録番号標を国土交通省令で定める位置に取り付け、番号の識別に支障が生じない方法で表示しなければ車両を運行してはならないと定められている。
新基準が適用される車両では、前面ナンバープレートの角度は上向き10度〜下向き10度、左右方向は「左向き10度〜0度」の範囲で取り付けることが求められる。
この範囲を超えて装着した場合は、法令違反となる。
なお、「左右向き0度」という表現は少し分かりにくいが、これは右方向への傾きは認められず、正面または左方向へ最大10度までしか傾けられないことを意味している。
「左右向き0°」って!? なんで左には傾けて良いのに、右には傾けてはNGなのか?
では、なぜ左方向は認められ、右方向は禁止されているのか。その理由は、日本が左側通行であることに配慮したためと考えられる。
例えば、追越車線を走行する車両のナンバープレートが右側へ傾いていると、他車線を走る車両から視認しづらくなる。また、歩道側から複数車線道路の中央車線を走る車両を見た場合も同様だ。
こうした視認性への配慮から、「右方向への傾きは認めない」という基準が採用されたものと思われる。
REPORT:古川教夫 PHOTO:稲葉浩一・古川教夫



