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1050kgの軽量ボディに1150馬力のSR20改2.3Lユニットを搭載
強烈なダウンフォースを生み出すハンマーシャーク!
アンダー鈴木のライバルとでも言うべきか。チューニングカー世界一を決するWTAC(ワールドタイムアタックチャレンジ)のPROクラスで常に上位に名を連ね、2019年には総合2位に輝いた実績を持つS13シルビアである。
”ハンマーシャーク”と呼ばれる特徴的なフロントセクションを含め、車両のエアロデザインは元マクラーレンのレースエンジニアが担当。高い空力性能を武器に、年々速さを増している文字通りの怪物だ。
オーストラリアの名門サスペンションメーカー“MCA”からのエントリーとなるこのS13シルビア、見どころはもちろん空力だけはない。細部を見ていこう。
他のマシン同様に、ボディは室内空間を残して前後はバッサリとカットしパイプフレーム化した上で、前後サスペンション形式はダブルウィッシュボーンに変更。ダンパーはMCAのレース用スペシャルを奢る。
なお、レギュレーションの都合上フロントのストラットタワー周辺は残されているが、本来の機能を果たしていない。
ブレーキはフロントにブレンボのレーシング6ポット&セラミックローター、リヤにAPレーシングの4ポットキャリパーを装備する。ちなみにデフケースはZ34用で、LSDはOS技研のスーパーロックをインストールしている。
心臓部はビレット製シリンダーブロックにVEヘッドを組み合わせたSR20DET改2.3L仕様。そこに、ハイパーチューン製のEXマニを介してプレシジョン6870タービンをセットし、ブースト3.0キロ時に1150psを絞り出している。燃料はE85だ。
エンジンの搭載位置は極力後方に寄せ、空いたスペースには冷却系パーツを装備。ラムエア過給を可能にする独自構造のエアインテークもドライカーボン製で作られている。
エンジンのマネージメントにはAutronic社製のフルコンを使用する。
パドルシフト化を行なっているチームが多い中、MCAのS13シルビアはホリンジャー6速ドグをIパターンのシーケンシャルでそのまま使用している。つまり、まだまだタイムを削る余地はあるというわけだ。
リヤビューでようやくS13シルビアだと認識できるくらいで、エアロダイナミクスの追求はボディの全域に及ぶ。軽さにも拘り抜いたパーツセレクトによって車重はわずか1050kg。つまり、パワーウエイトレシオは軽く1kg/psを下回っているのだ。
底の見えない速さを持つS13シルビア。今後激化するであろう、4WD勢とのチューニングカー世界頂上決戦の行方やいかに。