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老舗のバランスチューンで筑波1分3秒台をマーク
ホットハッチとしての痛快さを伸ばす老舗のメソッド
スイスポをハイパフォーマンスなホットハッチと評価し、初代モデルからチューニングの可能性を追求してきた老舗“オリジナルランデュース”。
ZC33Sに関してもデビュー直後から精力的に開発へと取り組み、ストリートを主体としつつサーキットでもハイレベルな走りが楽しめる1台を目指している。
「引き出せるパフォーマンスの限られたコンパクトスポーツだからこそ、トータルバランスをいかに高次元で整えるかが重要です」と語るのはオリジナルランデュースの浅田代表。
続けて「ZC33Sはターボ化されたことでポテンシャルを高めやすくなりましたが、走りの軽快感はホールベースが長くなったことによって少し薄れてしまいました。そうしたバランス変化に対する最適化を走り込みの中で探りつつ、ストリート仕様で筑波1分3秒9まで煮詰めています」。
まずはエンジンだが、レスポンス良さと引き替えに吸気温度と排圧が厳しくなるノーマルタービンはスポーツ走行に不向きと判断し、HKSのGTIII-FXへ早々にスイッチ。サーキット走行を前提にオイルキャッチタンクも装備される。
マネージメントにはHKSマスタリーECUのアップグレード仕様を投入し、吸排気効率最適化と合わせてブースト1.4キロ時に207ps&32㎏mを発揮。さらに、パワーエディターの追加でブースト圧を0.1キロ上乗せし、ピークパワーの10ps底上げに成功している。
そんなハイパフォーマンスを安定発揮させるために、クーリングチューンもHKS製パーツで徹底。吸気温度の上昇しやすいZC33Sではインタークーラーだけでハイブースト時に5〜10psは変わってくる。
オイルクーラーも、油温に引っ張られて上昇する水温抑制に必須となるアイテム。水温補正でのポテンシャルダウンは想像以上のロスと肝に銘じておきたい。
サスペンションはHKSハイパーマックスのMAX4GTで、タイヤ性能を引き出すための面圧を重視してフロントのレートを16kg/mmまでアップ(リヤは12kg/mm)。
また、軽量ボディにブレーキシステムまでは不要と思えるかもしれないが、ハードに走り込むとZC32S同様にノーマルキャリパーの開きが発生するため、304mmローター&ミニ6ポットのオリジナルブレーキシステムを投入した。
フロントタイヤは様々な銘柄&サイズをテストした結果、ブレーキバランスまで考慮すれば225/45-17がベストマッチと判断。現在はアドバンA08Bでテストを進めている。キャンバー角はネガ4度に設定。
旋回性が要求されるターンインでオーバーステア気味となるように、リヤはややトーインへとセッティング。キャンバー角はキャンバープレートで2度に設定している。
FFゆえに暖まりにくいリヤタイヤのグリップ力不足はアタック時の不安定要素となるため、ソフトコンパウンドのA08BスペックGをマッチング。
タイム重視でも軽量化は一切施さず、スポーツ走行時のホールド性高めるバケットシートを投入した程度に仕上げるインテリア。コンディション管理に欠かせない追加メーターも、ブリッツのタッチブレインでシンプルかつコンパクトにまとめ上げているのだ。
安定した速さ引き出しにダウンフォースは欠かせないが、ストリート仕様で大型化はナンセンス。ということで、フロントスポイラーとリヤウイングにはスタイリッシュなトラスト製をチョイスしつつ、面圧を少しでも高めたいフロントにワンオフのアンダーパネルを追加している。
オリジナルランデュースが、ZC33Sで掲げている目標タイムは筑波1分2秒台。現状でも格上を楽にカモれる仕上がりとなっているものの、ZC33Sの速さはまだ引き出せるということでセッティングを模索している段階だ。今後のさらなる進化に注目だ。
●取材協力:オリジナルランデュース 岡山県倉敷市三田118-1 TEL:086-464-0606
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オリジナルランデュース
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