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高い資質を有するEJ207ベースということに意味がある
400psオーバーのハイチューンにも対応するマルシェオリジナル仕様!
「排気量を増やす理由は、まずは400ps以上に対応したフレキシブルで速いエンジンにしたいから。そして、EJ25をそのまま流用しないのは、今後ハイチューンを求めるユーザーに対し、安心して使えるエンジンチューニングメニューを用意する責任があると感じているからです」というのは、スバルチューンの老舗“カーステーションマルシェ”。
マルシェの実験マシンでもあるこのGRBは、先の目的を実現するためにあえてEJ20(EJ207)をベースとし、オリジナルのシリンダースリーブを使った2.5L仕様を搭載。かつて、EJ20用としてキット販売していたGT3037Sタービンを合わせる。
ちなみに、純正のEJ25ターボは、出力限界がトルクにして約60kgm前後とされているが、マルシェのデモカーはすでに78kgmものトルクを発生している。タービンサイズからピークパワーは480psに留まっているが、特性的には4000rpm以上の全域で450psを超えるのだ。そして、ブースト圧1.5キロを常用、時には1.8キロにもトラブルの不安なく使えるという性能は、このチューニングエンジンの凄さを表していると言っていいだろう。
インテークでは、微妙にスロットルの取り付け角度を変えているのもポイント。これは、サクションパイプの角度変更によって高回転時に1番シリンダーへの空気流入量が多くなってしまうことへの対策で、均等に吸気が行える角度を探した結果だという。合わせて、F-CON Vプロによる気筒間補正も活用してセットアップがなされている。
インタークーラーをフロント側に移設しているため、空いた純正インタークーラー位置にオイルクーラーをマウント。純正ボンネットダクトから取り込まれる走行風でエンジンオイルを効率的に冷却するわけだ。
エキゾーストはHKSのサイレントパワーマフラーをインストール。純正バンパーを加工して装着するリヤディフューザーも装備している。
向上したエンジン出力に合わせてブレーキも強化。フロントブレーキはエンドレス製で、冷却効率を上げるため、ローターはオフセットを変更するなど独自のセットアップが施されている。
一方のリヤブレーキは純正だが、キャパシティが不足気味なのでサーモシールを貼り温度管理をしながらセットアップを続けている。
ドア開口部を補強するバーは、取り付け部をピロで製作した試作品。筑波の第一ヘアピンなどでその有効性が感じられるとのこと。
操作系は、マルシェのオリジナルパーツであるイナーシャシフターに注目。これは、錘の慣性(イナーシャ)を利用してシフト操作をアシストしてくれるアイテム。サーキット走行時に大きな武器になることはもちろん、シフトチェンジ自体が楽しくなるパーツだ。
最後に「EJ25エンジンをそのまま換装するプランは駄目?」と意地悪く質問してみたところ「街乗りなら悪くない。でも、チューニングにはいつもコストの問題がつきまとうでしょ。EJ20搭載車でパワー増強を狙うなら、コストパフォーマンスを考えると排圧を落として安全マージンが高まるタービン交換がまず一歩。もし、タービンが交換されているなら、EJ20改2.2Lに発展させるのが速さと耐久性とチューニング費用のバランスが良いと思う」との回答。
続けて「ヘッドの性能もEJ25よりEJ20の方が優れていますからね。そこから先を狙うなら、もうノーマルのEJ25じゃ役不足になる。そこでウチのEJ20改2.5Lってなるわけ」とのこと。全ての選択に理由があって、そこにはマルシェ独自のチューニング理論が詰め込まれているというわけだ。
●問い合わせ:カーステーションマルシェ 群馬県前橋市亀里町1224 TEL:027-265-6789
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