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最低限のパーツ装着と適切なアライメント調整で激変!
電子制御対策とキャスター調整が攻略のカギ
発売から10年以上が経過したZN6型86&ZC6型BRZ、今や簡単装着で電子制御(横滑り防止機能やABS)をキャンセルできるパーツも多く存在するため、機械式LSDさえ入れたら即ドリも可能。そんな高いドリフト適正が再認識されてきたお手軽FRスポーツモデルで、純正を活かしたままでも楽しめるドリ車メイクのノウハウを、ガレージクリア鈴木代表にレクチャーしてもらった。
「よく“86やBRZをシルビアみたいに仕上げたい”と聞きますが、そこを目指すと悪い方向にハマることが多いんです」と、実際にサスセッティングに苦戦していたガレージクリアのお客さんの実体験もあって、鈴木代表はノーマルを活かしたメイキングを推奨している。
取材車両は、フロントの足回りはスタンス車高調とオリジナルの切れ角アップナックルを装着している以外、アーム類は全て純正のまま。エンジンパワーに対するバランスを重視しているので、なるべくワイド化しない方向でセッティングを詰めている。
ちなみに、切れ角アップナックルについては「最近は当たり前のように装着されるショートナックルですが、切れ角が上がれば上がるほどパワーが必要になってくるわけで、NAのまま86&BRZらしさを追求するならナックルはひとまず後回しでも問題はないですよ」と鈴木代表。
また、ノーマルのままだとフロントの回頭性の高さ(悪く言えばイン巻き傾向)が目立ち、応答性に乏しくセルフステアの感覚が掴みづらい。そこでクスコ・ピロボールアッパーマウントを投入してキャスター角を限界まで付けるようにセット。
キャスターを寝かせるセッティングはドリフト仕様ならではだ。カウンターを当てる際のセルフステアの効きを良くすることでスピンしづらくなる上、ドリフトの振り返しの操作にも余裕が生まれるようになるのだ。アライメントはネガティブキャンバー3度、トーアウト2mm、キャスター6度5分という感じだ。
リヤに関しては、鈴木代表がポイントとして挙げたのは、オープンデフグレードの機械式LSD化だ。注意点としては、LSDを入れるとリヤメンバーのジャダーが激しくなるため、同時にリジッドカラーも必須になるということ。推奨アライメントはネガティブキャンバー1.5度、トー0mm。トラクション重視のセッティングだ。
続いて各電子制御のキャンセル。ガレージクリア鈴木代表が持っているのは、OBDIIポートに差すだけでABS、VSC、TRCを全てカットできる「キラメックVSC86(BRZにも装着可能)」だ。
「ドリフトのしやすさが全然変わります。税抜き1万8000円なのでまず最初に買っとくべき!」というお勧めパーツなのだとか。クルマの限界を超えたところからのコントロールを楽しむドリフトにとって、横滑り防止機能やABSは当然不要。この2つをキャンセルするだけでも十分に遊べる仕様になるとのことだ。
エンジン系に関しては、ドリフトにはとにかく相性の悪い電子制御スロットルの対策として、スロットルコントローラーは優先度の高いパーツ。鈴木代表はジェイロードのシエクル・レスポンスブースターを愛用しており、スポーツモード(パワー重視)とスクランブル(最大加速)を使い分けている。
「足とのバランス次第で楽しめる」という考えから、エンジン本体はノーマルで、レイル・インテークキットタイプ2が装着されているのみ。過給機装着には頼らないのがポリシーなのだ。
パワーでごまかせない86&BRZは、足回りのセッティングが全てと言っても過言ではない。もちろんドライバーの力量や走る場所によってもセットアップは変わってくるが、電子制御のキャンセルとキャスター角、そしてLSDの装着は共通と考えて良いだろう。もしも、色んなパーツを試してハマってしまった時は「思いきって全部ノーマルに戻してしまうのもひとつの手です」と言うように、実はガレージクリアの86は純正パーツも多いのだ。
●取材協力:ガレージクリア 福井県福井市江上町56-10-1 TEL:0776-59-1172
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