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約150万円のコンプリートメニューを目指す
FA24をZN6/ZC6純正ECUで駆動させる!?
年式や走行距離を考えれば、数多くの車両でお疲れ気味となってきている86/BRZ(以下Z#6)前期モデルのFA20エンジン。2.4Lの排気量がもたらす低中速トルクを武器に、全域でポテンシャルの差を見せつける現行GR86/BRZ(以下Z#8)に対抗するべくチューニングに取り組みたくても、心臓部のコンディション不安が頭をよぎる状況だ。
さて、そんなZ#6前期ユーザー事情も踏まえて、Z#8との差を埋めるコンプリートメニューの構築へと立ち上がったのが、京都の“オートクラフト“だ。気になる内容は「オーバーホールついでにエンジンチューニング」といったものではなく、「Z#8と同じ心臓部を与えてポテンシャルアップ」といったFA24換装となる。
最近はFA24スワップに取り組むチューナーの動向も聞こえてきてはいるが、Z#8と制御が近しいZ#6後期モデルはまだしも、Z#6前期はハーネスやECUまで交換が要求される大掛かりなもので高額だ。そこで、オートクラフト白髭代表は「必要最小限の手数でリーズナブルにZ#6前期にFA24搭載する」をコンセプトに掲げ、コンプリートメニューの開発作業をスタートさせた。
「FA24はノーマルでも十分な速さを備えていて、Z#6に換装するだけでスーパーチャージャー化したFA20と同程度のポテンシャルが引き出せる。それならZ#6前期のユーザーが不安に思う心臓部をFA24に換えて、コンディションとポテンシャルを同時に高めるのが一番と考えました」とはオートクラフト代表の白髭さん。
続けて「ただし、FA24はインマニやオルタネーターなど補機類がセットになった新品エンジンが132万円(取材時)。Z#6前期モデルにFA24を換装するのに必要となるECUやハーネス、センサー交換などを加えると、簡単に200万オーバーとなってしまいます。ですから、コストの掛かるポイントは前期のまま、なんとかECUのデータ変更+αといった最小限の手数でFA24換装を実現したいと考えています」と語る。
すでに両エンジンの相違点チェックでは、インジェクターに直噴ポンプ、デュアルAVCSの制御など数多くの違いが判明しているが、必要最小限の手数を邪魔する最大の難関として白髭さんが睨んでいるのが、クランク角センサーだ。
というのも、FA20前期は電磁タイプのマグネットセンサーで2Pカプラーとなっているのに対し、FA20後期やFA24は光電タイプのホールセンサーで3Pカプラーとなっているため、ここが前期ECU制御の妨げになると予想。とはいえ、すでに対策方法を思いつき、対策パーツも手配済みだ。
FA20とFA24で最初に目に付く違いはインマニ。2.4L化に伴う容量アップだけでなく、スロットルのサイズアップも行なわれているが、換装作業には大きな問題にならない。
FA24ではポテンシャルアップに伴うクーリング強化が図られ、水冷オイルクーラーが追加された。空冷オイルクーラーまでは不要なストリート+αならFA24への換装で油温対策も同時に図ることができる。
性能面でどれだけの違いがあるのかは未確認だが、直噴インジェクターを駆動する高圧燃料ポンプも形状が異なる。直噴ドライバーが独立しているFA20と、ECUに統合されたFA24、直噴&ポートそれぞれのインジェクター容量の違いも含めて換装時の影響を解明していく。
写真は水温センサーだが、カプラー形状が異なっている。カプラー自体は加工で簡単に対処できるが、FA20前期のECUで制御するため出力特性に違いがないかどうか見極めて取り組む。
FA20ではATモデルのみに与えられていたエアポンプだが、FA24ではシフトダウン時の安定性を高めるためか標準搭載になっている。バキュームの追加取り出しで対応予定だ。
両エンジンとも同じように見えるが、可変量の違いを含めて換装時の要チェックポイントになると予想するデュアルAVCS。ECU側だけで対応可能と睨んでいるが、思うように制御できない場合はFA20からのシステム移植も視野に入れている。
「ハーネスやECUまで変更すれば、Z#6前期のFA24換装は問題なく可能ですが、それだと価格的に手の出しにくいメニューになってしまいます。もっと手軽にZ#8と並ぶポテンシャルを手に入れてもらうため、Z#6前期ECUのデータ変更でFA24の高性能が楽しめるコンプリートメニューを目指します」と語るオートクラフト白髭さん。
もちろん、現行Z#8の高性能はボディ剛性などパッケージバランスの良さにもあるため、FA24の換装だけでは同じ速さにはならない。しかし、200ps&20.9kgmのFA20前期が、235ps&25.5㎏mものポテンシャルを発揮するFA24にリーズナブルに置き換えられると考えれば、非常に期待の高まるプロジェクトだと言える。
あくまでも計画段階だが、公認取得は別として、150〜160万円でZ#6前期×FA24のコンプリートメニューを目指すとのこと。今後もこのメニューは追いかけていくので、続報に期待すべし!
●取材協力:オートクラフト京都 京都府京田辺市大住大峯1-7 TEL:0774-64-6466
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