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690馬力を絞り出す13Bクロスポート仕様で勝負
トラブルを克服して54秒796をマーク
筑波サーキットにおけるチューンドロータリーの最速記録は、カーショップドリームKGMボルテックス7が2020年にマークした53秒489というタイムだ。その金字塔を打ち破ろうと、全国各地のロータリー使い達が果敢に筑波アタックを続けているわけだが、ここで紹介するRX-7(TFR向島R FD3S)もその1台。
心臓部の13Bは、サイドポートにペリフェラルポートを組み合わせたクロスポート仕様とし、インテークマニホールドにアメリカのPRO-JAY製のキャストモデルを使用。スロットルもPRO-JAYのビッグタイプを組み合わせる。
そしてタービン。以前はビッグシングルの代名詞でもあるHKSのT51Rを使用していたが、2019年シーズンからGTX4088にサイズダウン。ピークパワーではなくトルク重視のセットアップに変更したわけだが、それでも最高出力は690psに達しているのだから恐れ入る。
サスペンションはエレメントスポーツの車高調キットを軸に構築。スプリングレートは前後23kg/mmをベースにエンジンスペックとのバランスを探っているところで、今後セッティングは変わっていくことになりそうだ。
リヤサスは、レーシングアップライトやスーパーナウのロングロワアームを組み合わせてトレッドを拡大。強度アップとともにジオメトリーの最適化を行っている。駆動系は、ATSカーボンクラッチ→クワイフ6速シーケンシャルドグミッション→OS技研スーパーロックLSDという構成だ。
エアロチューンも徹底。フロントのアンダーパネルからフロアまでをフルフラット化し、さらに純正の燃料タンクを撤去した上で超大型のリヤディフューザーを設置。そのシルエットは、もはやサイバーフォーミュラの世界観である。
2019年シーズンで導入したドライカーボン製アンダーパネルは、フルドライカーボンによる逸品。リヤセクションの空力パーツと合わせて、圧倒的なダウンフォースを味方に付けながらFD3Sの旋回性能を高めていく狙いだ。
なお、取材した筑波アタック時はマイナートラブルの解決に時間を取られて準備が間に合わず、走りも不完全燃焼だったそう。しかし、後日再アタックして見事に自己ベストを上回る54秒796(アドバンA050=FR295/35-18)を記録。最速ロータリーマシンの座に一歩近づいたのだ。