「これぞAIサスペンション革命!」テイン渾身の『EDFC5』をサーキットで試したら凄すぎた・・・

ジャーク&AI制御採用で新世代の車高調へと進化!

街乗りからサーキットまで対応する懐の深さ

2002年の登場以降、EDFCアクティブ(2013年)、EDFCII(2014年)、EDFCアクティブ・プロ(2014年)…と進化を重ねてきたテインのEDFC。

セールスポイントは言うまでもなく、車内からダンパーの減衰力が調整できるという点。モデルが進化する毎に、プリセット機能によってワンタッチで好みのセッティングを呼び出せたり、Gセンサーによる加減速データから減衰力を自動調整したりと、革新的な技術が盛り込まれてきた。

その最新モデルとなるEDFC5(10万5050円)は、さらに自動制御のアップデートを図り、『ジャーク感応性自動調整モード』と『AI機能』を追加。令和に相応しい超性能のEDFCを具現化したのである。

この聞き慣れない“ジャーク(躍度=やくど)制御”とは、芝浦工業大学の渡邉大教授との産学連携によって開発されたシステム。Gの変化量を事前に検出することで、ステアリングを切った瞬間や、加減速の始まりのタイミングで減衰力を自動調整し、シャープなハンドリングと乗り心地を両立させるというものだ。

噛み砕いて説明すると、刻々と変化する路面状況やコーナーに対して、EDFC5は全領域でリニアに減衰力を合わせ込むことが可能になった。この“全領域”には、コーナリングやブレーキング、加減速の過渡期(変化している最中の領域)も含まれており、本来ならば高額なヨーレートセンサーでなければ検出できない動きの測定を、すでに搭載されている3軸のGセンサーを応用することで実現しているのだ。

今回は、そんなEDFC5の性能を探るためにエビスサーキット(東コース)でのテストを敢行。車両はGR86で、街乗りからスポーツ走行まで対応する全長調整式の車高調『RX1』がインストールされていた。

もちろん、EDFC5は他のテイン製ダンパーと組み合わせることも可能だ。最大でステッピングモーターを8個まで制御できるため、2WAYの車高調でも問題ない。

スプリングレートは、フロントが純正の3.0kg/mmから5.0kg/mmへ、リヤは3.5kg/mmから4.7kg/mmへとそれぞれアップ。スポーツ性能を生かしつつ、市街地での乗り心地を改善し、かつワインディングではロールを抑えるなど、挙動を掴みやすい味付けとなっている。

車高調の減衰力調整部に接続するモーターに仕様変更はないものの、リモートコントローラードライバーユニット内の制御を煮詰めたことによってモーター作動音の静音化に成功している。

車内に設置するコントローラー本体。従来モデルはHTNパネルだったが、EDFC5ではVAパネルを新採用。クリア度が増し、液晶の視認性も大幅に上がった。数字はフロント左右、リヤ左右の合計4つの減衰力で、マニュアルモードではダイヤル操作で減衰力の調整が可能だ。上の『G』『J』などは設定されているモードを表している。

テスト内容は、『加減速G、旋回G感応自動調整モード』→『ジャーク感応自動制御モード』→『加減速G、旋回G感応自動調整モードとジャーク感応自動制御モードの統合制御』の順にモードを切り替えながら、それぞれの走り心地を探るというものだ。

結論から言うと、ジャーク制御はタイムアタックでも大きな武器になると思う。高速コーナー区間では違いが判りにくい印象もあったが、タイトなコーナーが連続するセクションだとジャーク制御の有無による差は歴然! 全体的に“踏ん張り感”が高まり、ステアリングを切った瞬間のクルマの動きも明らかに鋭くなる。

もちろん、ジャーク制御を外した状態でもEDFC5はアクティブに仕事をしてくれている。文章や言葉で表現するのは非常に難しいのだが、ジャーク制御を入れると、その仕事の幅が信じられないくらい広がる印象なのだ。

しかも、このEDFC5にはAI学習機能まで備わっているのだから、もはや恐怖すら感じるレベル。サスセッティングとは本来、走り込んで地道に煮詰めていくものだが、EDFC5は10分〜20分ほど走るとドライバーに合わせたベストセッティングを導き出してくれる。この機能は、時間に余裕がないサーキット走行会などで間違いなく武器になってくれるはずだ。

「EDFC5は、あらゆるステージで効果を発揮します。とくにジャーク感応自動制御モードに関しては、芝浦工業大学システム理工学部・渡邊教授と一緒に開発した最先端のテクノロジーです。体感度も非常に高いので、足回りのセットアップに悩んでいる方々は、ぜひ試していただきたいですね」と語るのはテインの小池さん。

技術の進化は日進月歩と言うが、ジャーク制御の実装はある意味“ブレイクスルー”に近い。それほどまでに革新的なのだ。チューニングの未来を感じ取りたいクルマ好き達は、導入を検討してみてはいかがだろうか。

●問い合わせ:テイン TEL:045-810-5501

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テイン
https://www.tein.co.jp/

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