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オーバー600馬力でも路面に喰らいつく老舗のセットアップ!
乗りやすさが活きるブーストアップ仕様
ゼロヨンやタイムアタックでのハードチューンイメージとは対照的に、“ガレージ伊藤”が得意とするのは実はワインディングやミニサーキット。用意された車両はお馴染みのデモカーだが、じつは普段はオーナーが通勤や営業にも使うストリート仕様のブーストアップ、初期型(2008年式)ユーザーカーだ。
マシンコンセプトは“ブーストアップの極み”とのことで、セントラルサーキットをターゲットに定めながら約7年間コツコツとセットアップを重ねてきたそうだ。
エンジンは600psのブーストアップ仕様。ピーク出力は一般的だが燃料系も強化するなどしっかりと組み立て、細かくセットアップを煮詰めることで乗りやすさを引き出す。サーキット走行も視野に入れているため、冷却系にはオイルクーラーとDCTクーラーを追加している。
足回りはクァンタムのハイエンドモデル“T3-CR”を軸にセットアップ。スプリングレートは、HKSのATCS(前後トルク配分をコントロールする電子パーツ)とのマッチングまで考慮して、現在はフロント19kg/mm&リヤ17kg/mmに落ち着いている。アーム関係は基本的にノーマルだが、旋回性能を高めるためにフロントアッパーアームのみ調整式を導入して3度のネガティブキャンバーを付けている。
ちなみに、アライメントなど細かなセットアップは“レース屋”として徹底的に拘っていて、ベストな値を求めて今もなお模索を続けているという。
ホイールはSSRのGTV01(11J×20)で、タイヤには前後285サイズのポテンザRE-71Rをマッチング。ブレーキはローターをRH9の大径タイプ(F390mm R380mm)に変更している程度だ。
インテリアはブリッドのガイアスIIを投入した上で、ステアリングも機構ごと2017年モデル(パドル機構がステアリングに連動して回転するタイプ)へと変更している。
エクステリアはオーナーの拘りが色濃く反映された部分で、フロントバンパーとワイドフェンダーはトップシークレット製、リヤアンダーはジール製とヴァルド製を組み合わせたもの。新たに導入した1800mmのスワンネックGTウイングはボルテックス製だ。サーキットでの強力なダウンフォース狙ったものだ。ドアをドライカーボン化するなど軽量化を目指したパーツチョイスも見られる。
このチューンドの速さは凄まじく、パワー的には600psと一般的なブーストップの範疇だが、 ユーズドのハンコックタイヤ&オーナードライブという条件でセントラルサーキット1分23秒791をマークしているのだ。
「サスセッティングの細かなセットアップの変更と、ブーストアップ仕様の突き詰めによってかなり良い感じの総合性能を引き出していると思います。セントラルサーキットなら、750psオーバーのタービン交換仕様を上回るレベルです」とはガレージ伊藤の伊藤代表。
豊富なレース経験を持つガレージ伊藤らしい拘りが詰め込まれたR35GT-R。純正タービンを活かし切る、ブーストアップ仕様のお手本のようなメイキングだ。
●取材協力:ガレージ伊藤 大阪府茨木市島3-3-20 TEL:072-637-8511
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