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北海道からのチャレンジで「筑波最速」を達成!
865kgの軽量ボディに300馬力のエンジンをドッキング
このEK9型シビックタイプRは、筑波サーキットをターゲットに製作されたチューンドだ。元々は耐久レース用のエンジョイスペックだったが、戦闘力を求めるうちにチューニングが次第にエスカレート。気が付けば生粋のタイムアタック仕様へと進化していたという。
生息地が北海道のため、関東近郊のアタッカーに比べて圧倒的なディスアドバンテージを負っているが、このシビックの速さは尋常ではない。2023年シーズンのアタックで55秒144を叩き出し、見事にNA最速の座を奪取したのである。
マシンメイクを担当するのは、札幌市の“テクニカルガレージGNR”と、北海道唯一のRH9加盟店としてお馴染みのプロショップ“ガレージライズアップ”だ。また、このシビックのオーナー自身も製作やセッティングに携わっており、作り手と乗り手の意見が集約された仕上がりになっている。
エンジンは、エリシオン用のK24エンジンをベースにしたアメリカ製コンプリートユニットで、NAとしては驚異的な約300psを発生する。エンジンマウントはハスポート製、4連スロットルやインマニ等も海外製を組み込んでいる。オーナー曰く、K型エンジンの魅力は豊富なアフターパーツとパワー感、過酷な走りを続けても壊れにくい耐久性の高さなのだとか。
K24のコンプリートエンジンは、ガレージライズアップが所有するダイナパックを使用し、オーナー自らがセッティングを敢行。使用するECUはハルテックで、乗用回転数は8000rpm(8300rpmレブ)だ。
全開タイムアタックによるエンジンの発熱をセーブするため、DRL製のラジエター&オイルクーラーをVマウント化して装着。エンジンルームから熱されたエアを抜くための加工もしっかりと施されている。水温と油温をベストな状態に保つことで、過酷な条件下においてもエンジンが持つポテンシャルを100%発揮できるのだ。
ボルテックス製のアンダーパネルや、オリジナル製作されたワイドフェンダーが目を引くフロントビュー。フェンダーは内部加工も施されており、取材時に装着していたタイヤサイズは295/30R18(アドバンA050-GS)。なお、レコードブレイク時は315サイズを履いていた。
超巨大なGTウィングはボルテックス製。装着したことによってリヤに安定感が生まれ、タイムアップに大きく貢献してくれたそうだ。リヤタイヤはアドバンA050の235/40R17(取材時)をチョイス。
スポット増しと8点式ロールケージでボディ補強も抜かりなし。これだけの補強がなされていながら、ボディパーツのシェイプアップによって、車重は脅威の850kgを達成。まさに「軽さは武器」である。
重要なフットワークは、オーリンズをベースにオリジナルセッティングが施された車高調をセット。しなやかに路面を追従するその動きは、様々コースレイアウトにも柔軟に対応してくれる。ちなみに、バネレート等のセッティングは「企業秘密」だそうな。
タイムアタックのキモでもあるブレーキ系統はエンドレス製で統一。フロントにはキャリパーとパッドが、リヤにはパッドがそれぞれ装着され、筑波や十勝での過酷な走行時でも強烈なストッピングパワーを発揮する。
「レース用マシン」と呼ぶに相応しいスパルタンな室内。メーターはハルテックECU専用で、ドライバーズシートはレカロ製のプロレーサーRMSをチョイス。
フルチューンのターボ勢ですら難しい55秒台に難なく突入し、54秒への壁すらも突破しようとしているリトルモンスター。どこまで記録を伸ばすのか、非常に楽しみな1台だ。