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K14Cエンジンの真価を解き放つ!
GTIIIタービン仕様へのアップデートにも対応する
伸び代が大きいK14Cターボエンジンを搭載し、さらなる速さと発展性を手に入れたZC33S型スイフトスポーツのチューニングに注力する“HKS”。
すでに様々なパフォーマンスアップパーツを開発し市場を賑わせているが、ここでピックアップするのはZC33Sの真価を引き出す『マスタリーECU(8万8000円)』。HKSのアンテナショップである“HKSテクニカルファクトリー”もその性能に太鼓判を押す、純正ECUチューニングメニューだ。
このマスタリーECUは、基本的にチューニングショップが窓口となって、ECU本体をHKS本社に送り、データが書き換えられた後にショップに送り返されて愛車に戻す…という手順が必要なのだが、HKSテクニカルファクトリーでは店舗での書き替えが可能だ。
そこで、今回はHKSテクニカルファクトリーの協力を得て、ZC33SのECUチューンの効果を検証してみた。
まずは、純正タービンのブーストアップから。ノーマルの150ps&24kgm(最大ブースト圧1.14キロ)に対して、マスタリーECUでは162ps&28kgm(最大ブースト圧1.30キロ)を発生。なお、グラフはダイナパック(係数ゼロ)計測によるもので、文中の計測値は係数を掛けたものとしている。
ちなみにマスタリーECUは、燃調や点火時期、ブースト圧の他、レブアップ(6000rpm→6300rpm)、スピードリミッターの解除も行われる。データはノーマルタービン用とGTIII-FXタービン用の2種類に対して、吸気系に『スーパーパワーフロー』、排気系に『メタルキャタライザー』『ハイパワースペックLマフラー』を装着した状態でプログラムされたものとなっている。なお、ノーマルタービン用からGTIII-FXタービン用へのデータ書き替えも対応可能とのこと。
続いて、タービンを純正からHKSのGTIII-FX(キット価格:22万円)に交換。マスタリーECUもGTIII-FX専用データに書き替えて、改めてシャシダイで計測を行ったところ、200ps&30kgm(最大ブースト圧1.55キロ)をマーク。
このタービンはMHI製センターカートリッジを採用し、コンプレッサーブレード/タービンブレードともに純正よりも大型化したモデルだ。最大風量は約40%もアップしている。
「GTIIIタービンの風量を最大まで発揮させていますね。一方、純正クラッチの容量はトルクが30kgmを超えてくると厳しくなってきますから、HKSオリジナルデータは相当に作り込まれたものだと言えますよ」とは、HKSテクニカルファクトリー仲さん。
となると、強化クラッチの導入とともに、さらなる大型タービンに交換するとどうなるのか?
具体的には、GTIII-SSタービンで250psオーバーを狙っていくことになるわけだが、純正の直噴インジェクターの容量は220ps付近まで…というのがHKSの見解だ。
もちろん、追加インジェクターでの燃料増量は可能だが、取り付けにはインマニの加工や制御用のサブコンが必要になるなどチューニングのハードルが一気に上がってしまうため、ストリートスペックとしては現実的ではない。そういう意味でも、GTIII-FXタービンとマスタリーECUのセットは、相当に優れたパッケージングと言えるだろう。
●取材協力:HKSテクニカルファクトリー 埼玉県戸田市美女木5-2-8 TEL:048-421-0508
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HKSテクニカルファクトリー
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